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 過去3年半、国際社会を振り回してきた異形の米国大統領は何を考え、どう国の針路を決め、米国と世界をどこに導こうとしていたのか。2018年4月から453日間、国家安全保障担当の補佐官としてトランプ大統領に仕え、回顧録を7日に日本でも出版するジョン・ボルトン氏に、超大国の中枢で起きていたことを聞いた。(聞き手 アメリカ総局長・沢村亙

 ――あなたは父子2代のブッシュ政権でも高官を務めました。大統領の統治スタイルや資質でトランプ氏はどう違いましたか。

 「何もかもです。統治の哲学も大戦略もトランプ氏は持ち合わせていませんでした。政策を立案して施行に至るプロセスを通じて方向性は示されず、一貫性もありませんでした。これほどまでホワイトハウス内がカオスだった政権を私は知りません」

 ――だからこそ補佐官の手腕が問われるのではありませんか。

 「政策提言に盛り込まれた利点と欠点を見極めて決断を下すのが大統領の仕事です。トランプ氏の場合は、たとえ国家の安全保障にかかわる話だったとしても、『国内政治にどう影響するか』が判断の物差しでした。トランプ氏が正しい決断をしたケースがあったとすれば、補佐官たちが大統領をうまく説得できたからではなく、そう判断しなければ共和党の議員たちが反発するのをトランプ氏が心配した場合でした」

 「明確な目標を設け、首尾一貫した政策を練り、それをぶれずに実行するのがプロの仕事です。しかしトランプ氏はそうしたことに頓着しません。昨日と今日とで食い違うのは日常茶飯事。彼がニューヨークで従事していた不動産ビジネスの流儀はそうなのかもしれません。しかし外交や安全保障の世界では通用しません」

 ――補佐官就任直後に米国はイラン核合意から離脱。あなたは米国が温暖化対策のパリ協定から離脱したことも支持しています。国際協調に背を向ける姿勢ではトランプ氏と共通していませんか。

 「私の戦略は『プロ・アメリカン』です。米国の国益と価値観を見極め、いかに守り、前進させるかを考える。同盟関係を通じて守れるものもあれば、単独行動で可能な場合もあります。多国間主義と単独行動主義の違いは、スプーンとフォークのどちらで食事するかという手段の問題です。一方でトランプ氏が掲げるアメリカ・ファースト(米国第一主義)は戦略ではなく、スローガンです」

 「世界最大の温室効果ガス排出国である中国を縛れないパリ協定のような取り決めは、政治家のお遊びです。私は民主党内にある国連中心の多国間主義にはくみしませんが、共和党内に巣くう孤立主義にも反対です。米国はインターナショナリスト(国際主義者)であるべきだと考えます。世界中に国益を有しているからです」

記事の後半では、ボルトン氏が安倍前首相とトランプ大統領の関係性について言及します。

 ――トランプ政権は米軍駐留経費の大幅増額を日韓に求めるなど同盟の行方が心配です。

 「米軍が日本に駐留する。米国…

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