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 長く長崎県内で競い合ってきたライバル銀行同士が合併して1日、「十八親和銀行」が発足した。県内1位の旧十八銀行(長崎市)と同2位の旧親和銀行(佐世保市)が一つになり、圧倒的な融資シェアをもつ金融機関の誕生。それに見合った地域経済の牽引(けんいん)役を果たせるか、地元企業への提案力が問われている。

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 「いかなる厳しい状況でも長崎の経済を支えられるびくともしない銀行にしていきたい」。新しい頭取に就任した森拓二郎・旧十八銀頭取は、長崎市の新本店であった記者会見で、新銀行の目指す姿を語った。

 合併に先立ち、十八銀は昨年春、親和銀を傘下に置く「ふくおかフィナンシャルグループ」(FFG、福岡市)と経営統合済みだ。新型コロナウイルスの感染拡大で、県内経済は今春から厳しい状況が続くが、森氏は「コロナ前に統合していたことで、融資を取り合わず丁寧な支援ができた」と効果を強調した。

 菅義偉首相が地銀再編の旗を振る中での、県内の融資シェア上位2行同士の合併。会長の吉沢俊介・旧親和銀頭取は「地域の成長にどれだけ貢献できるのかが注目されている」と述べた。

 開店前の式典で中村法道知事は「造船業低迷の中、新たな基幹産業育成へグループの総合力を生かしてほしい」と期待を込めた。

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 十八親和銀行になっても旧2行のシステムは、12月30日まで別々のまま継続される。その間、通帳による預金の出し入れは、その通帳を作った旧銀行の店舗でしかできない。年末年始の作業を経て来年1月4日にシステムが統合されると、両行の通帳がどの店舗でも利用可能になる。

 店舗は旧2行合わせて県内外に182カ所あるが、来年5月以降、約1年かけて68店舗を閉鎖して統合を進める。統合は近接した店舗同士が対象といい、担当者は「利便性に大きな影響はない」としている。

 店舗統合によって生まれる余剰人員は、融資先企業の課題解決や地域振興の部門に振り分ける方針だ。合併によって十八親和銀1行で県内貸出市場の7割近くを占めるため、貸出拡大による収益アップの余地が小さいことも背景にある。森氏は「今後はコンサルビジネスの割合を増やしていきたい」と意気込んだ。

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 県内で、新型コロナによる打撃を最も受けている業界の一つが観光業だ。県旅館ホテル生活衛生同業組合の塚島宏明理事は「積極的な支援をお願いしたい」と新銀行に、回復への期待を込める。

 塚島氏によると、修学旅行生に対応できる団体向けの宿などが特に苦戦。「変革のため、大型投資が必要になるところも増える。地域の実情に見合った経営指導をしてもらいたい」

 地場の宿泊業者のほとんどは両行いずれかと取引しているといい、合併で両行の情報が共有されることで「事業者のマッチングや経営ノウハウの蓄積に効果があるのでは」と期待する。

 長崎大経済学部の山口純哉准教授(地域経済)は、コロナ収束後にビジネス環境が変化するとみている。「これまで通りの業態を続けるのではなく、新しいビジネスモデルを生んで、提案していけるかどうかで新銀行の真価が問われるのではないか」と話した。(小川直樹、榎本瑞希)

今後のスケジュール

10月1日~12月30日  旧2行それぞれのシステム運用を継続。通帳は開設した旧銀行店舗でしか使えず

12月31日~2021年1月3日  システム統合作業。ATMなど休止

1月4日~  システムを1本化。相互利用可能に

5月以降  約1年かけて県内外の近隣店舗を統合