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 東京証券取引所でシステム障害が発生し、初めて売買の終日停止に追い込まれた。株価を動かすこともある重要な経済指標「日銀短観」の発表日。投資家の取引機会を奪う異常事態で、企業や証券会社は対応に追われた。経済の基幹インフラの取引所の機能停止の影響は幅広く、国際的な金融センターの地位向上をめざす日本の信頼を損なうと心配する声も上がる。

 「なんで今日なのか。初値もつかなかった」。オンライン証券を手がけるインヴァストは1日、東証の新興企業向けのジャスダック市場に新規上場した。担当者は「まさか終日売買停止になるとは思わなかった」と嘆く。東証マザーズに1日上場したアイペットホールディングス(HD)も上場自体は完了したが、取引が成立せず初値がつかなかった。広報担当者は「メモリアルな日なのに残念。投資家の反応が気がかりだ」と話した。

 両社とも、東証からは取引が始まるはずの午前9時直前になって売買の停止を伝える連絡がメールで入ったという。

 投資家からの売買注文を仲介する証券会社は、朝から対応に追われた。大和証券は注文を出していた顧客らに電話連絡で状況を伝えた。取引再開後、通常時とは違う値動きをする恐れがあることなど、留意事項を説明し、新たな注文を受けたり取り消したりしたという。大手証券関係者は「きょうは日銀短観など、売買材料のある日だった。あす朝執行しなければいけない注文がだいぶたまっている」という。

 投資信託協会はこの日、緊急会合を開き、東証で売買される株式銘柄を主な対象とする投資信託について売買の受け付けを中止するように加盟各社に指示をした。

「日本株への信頼揺らぐ可能性」

 東証は2日の売買再開を決めたが、中長期的な影響を懸念する声もある。

 株式市場の売買の6~7割は海外投資家が占める。国内に拠点を置く外資系資産運用会社の担当者は「(今回の障害で)一時的に日本株への信頼が揺らぐ可能性はある」と指摘した。

 香港情勢が不透明ななか、政府・与党は日本の国際金融センターとしての地位を高めようとしていた。菅義偉首相も麻生太郎財務相に金融センター推進を指示した矢先だが、こうした動きに水を差しかねない。

 西村康稔経済再生相は1日の会見で「まずは投資家の取引、売買の機会が失われたので極めて遺憾だ。特に国際金融都市をめざしてさまざまな議論を進めているところであり、デジタル化を1丁目1番地でやろうとしているところ。こうした中でのシステムの故障は本当に残念な話だ」と述べた。

 証券大手幹部も「海外の機関投資家は取引所を通さず、PTS(私設取引システム)や証券会社の店頭取引を行うことも多い。取引所の信用が揺らげば、こういう取引が増え、取引所の存在そのものが疑問視される。取引所外の取引が増え過ぎれば、価格形成の透明性や公正さも崩れかねない。信用第一を守ってほしい」と語った。

 ニッセイ基礎研究所の井出真吾氏は「改めて『スガノミクス』を世界にアピールしなければならないタイミングで、問題が起きた。原因究明を含めてしっかりした対応がなければ、日本への投資意欲に水を差しかねない」と言う。

障害繰り返した過去、強化進めた矢先

 「『ネバーストップ』を合言葉…

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