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 新潟県内で1日午前、住民がクマに襲われる被害が3カ所で相次ぎ、計3人が負傷、うち70代女性が意識不明の重体。今年度の人身被害は7件となった。県は被害が複数の市町村に及ぶことから警戒警報を発表し、注意を呼びかけている。

 村上署によると、1日午前9時40分ごろ、関川村下関の畑で70代女性が頭や顔を負傷し、倒れているのを男性が発見し、119番通報した。女性はドクターヘリで新潟市内の病院に搬送されたが、意識がないという。現場は村役場から北西約1キロの集落に隣接した畑で、女性宅に近い。県警は、農作業中にクマに襲われたとみている。

 同じ頃、この畑から約300メートル離れた民家からも、60代男性がクマに襲われて負傷していると119番通報があった。男性は近所の住人で、クマに襲われて頭や顔を負傷した後、この民家に助けを求めて駆け込んだという。民家から約120メートル離れた田んぼにはコンバインが止まっており、長靴や血痕が発見されたことから、同署は稲刈り中にクマにおそわれたとみている。

 この現場から南西に約30キロ離れた新発田市松岡でも「母が畑で作業中にクマに襲われた」と男性から110番通報があった。新発田署によると、近くに住む70代女性が頭部を引っかかれた。命に別条はないという。襲ったクマは体長約1・3メートルとみられる。

 関川村は村立関川小学校の4~6年の下校を早め、普段徒歩で通う児童も保護者の車やバスで帰宅させた。新発田市も捕獲用のおりを設置したという。

 県は1日、鳥獣被害対策支援センター拡大会議を開き「クマ出没警戒警報」を発令した。センターによると、8月までの目撃情報は前年より少なかったが、9月に入り急増、前年並みの707件になった(10月1日午後1時現在)。

 警報では、クマの出没が確認された場所に近づかない▽単独行動を避ける▽音が鳴るものを携行する、の3点を呼びかけ、防災無線や市町村からのメールで注意を促す。センターの神部淳(まこと)所長は「山あいの畑だけでなく住宅地でも被害が確認されていて注意が必要。命に関わるので、警戒してください」とする。

 新潟大学農学部の箕口秀夫教授(森林生態学)は「人里と山の間にあった里山がなくなり、クマの生息域が人里近くにまで広がっている」と指摘。今年も木の実が凶作で、食料を求め集落内にも出没しているとみる。クマの出没は、10月上旬から11月下旬がピーク。朝方や夕方ごろに活発になる。生活圏に入ることを怖がらない「新世代クマ」は夜行性だという。クマに遭遇したら、頑丈な隠れ場所に逃げ込むか、正対しゆっくり後ずさりするといいという。箕口教授は「クマも慣れない土地で人と出会い、不安や緊張を感じている。急に走り出して刺激するのが一番危険」とする。(小川聡仁、杉山歩)

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