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 国の観光支援策「Go To トラベル」で1日、東京発着の旅行も割引対象に追加された。例年、都内をはじめとする首都圏からの観光客でにぎわう新潟県湯沢町は、感染拡大の防止に注意しながら、挽回(ばんかい)に望みをかけている。

 「待ったかいがありました」。1日、妻(27)と2人でJR越後湯沢駅の改札を出てきた東京都大田区の会社員男性(27)は笑顔で話した。当初は9月末に宿泊予約をしていたが、東京が割引対象に追加される見込みとなった時点で今月1日からの旅程に変更した。普段よりも1人あたり2万円ほど高い旅館を選んだという。「せっかく安くなるなら良いところに泊まりたいなと思って。長い期間、旅行も控えていたので」

 地域共通クーポンも使えるため、「いつもはお菓子を買うくらいだけど、以前気になって買えなかった湯飲みや食器を買いたい」とにこやかだった。

 町内に立ち並ぶ旅館や小売店も観光の巻き返しを期待している。湯沢グランドホテルによると、まだ今月の宿泊予約はまばらだが、スキーシーズンとなる年明けの首都圏からの予約が増えつつあるという。例年、宿泊客全体の約3割を占める東京都内からの宿泊客が「春からほぼゼロ」。加えて、4月上旬~7月上旬は休業を余儀なくされた。担当者は「これから紅葉やスキーのシーズンを迎える。多くのお客様が戻ってくれるのを期待している」。

 「たくさんの人に来て欲しいけど、感染拡大だけは避けたい」。複雑な思いを語るのは同駅近くの土産物店の女性店員。先月19~22日の4連休は、主に関東圏からの来客でほぼ例年通りのにぎわいまで戻ったという。「コロナ禍では一番多かった。待ち遠しく思っていたけど、いざ来てもらうとすごく密になって……。正直怖さを感じた」と打ち明けた。とはいえ、「この秋と冬で東京からお客さんが戻らないと、(店の経営が)本当に苦しくなる」ともいい、「感染しないということを大前提にしながら、やっていくしかない」(谷瞳兒)

 「Go To トラベル」に東京発着の旅行が加わるのを機に、湯沢町や町観光協会、観光施設の運営会社は、利用料金の割引や特産品プレゼントなどで客を増やそうと奮闘中だ。

 町観光協会は町内の施設に1泊すると、コメや日本酒、ナメコが当たるキャンペーンを用意。紅葉の季節に合わせ、町内の主要な旅館・ホテルは全長5481メートルの「ドラゴンドラ」やロープウェーのチケット付き宿泊プランを販売する。また、町民限定で10~15日、「ドラゴンドラ」とロープウェーが無料にもなる。

 昨冬の少雪に加え、コロナ禍で訪日外国人客が途絶えたことで、同町内のスキーシーズンの観光客数は前年同期比33%減の159万人。さらに、野外音楽フェス「フジロック・フェスティバル」や学生の合宿など首都圏をはじめ県外からの入り込み客が期待できる夏のイベントが軒並み中止となり、4~7月の主要施設の客数は前年同期比87%減の10万人にまで落ち込んだ。

 「県外客をメインターゲットとしてきた湯沢町への影響は大きく、観光産業と事業者へのダメージは計り知れない」と田村正幸町長。今後、首都圏からのさらなる誘客につなげたい考えだ。(長橋亮文)

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