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 和歌山県有田川町徳田の有田川鉄道公園で動態保存されている蒸気機関車D51形827号機と、車掌車と貨車を兼ねた有蓋(ゆうがい)緩急車ワフ29603が、公園を離れて新潟県に移ることになった。3、4日にワフのラストランとなる乗車体験が予定されている。

 このD51は1943年に製造され、岐阜県を中心に走行していた。73年に廃車になった後は、愛知県あま市の故・山田泰平さんが買い取り、約40年間大切に保管していたという。山田さんの没後、鉄道輸送を手がけるアチハ(大阪市)が遺族から買い取り、石炭を使わずに機械で圧縮した空気で動くように改造。2017年4月に旧有田鉄道金屋口駅跡の鉄道公園に移され、大型連休など年に数回、旧有鉄の線路を使って車両を走らせていた。

 ワフは1955年から61年にかけて製造されたワフ29500形の1両で、5トンの荷物室とデッキ付きの車掌室がある。運転士の操作により列車全体に急制動をかけられる貫通ブレーキが無い列車に連結し、手動でブレーキをかけるため車掌が乗務する。貫通ブレーキが普及して貨物室を持たない車掌車が増え、29500形は最後の新製緩急車となり、85年3月のダイヤ改定で貨物列車から車掌車・緩急車の連結が原則廃止されて役目を終えた。

 このワフは、戦後日本の住宅設計をリードした建築家の清家清さんが85年に購入して東京都内の自宅に保存。2005年の没後、遺族がアチハに譲渡し、D51とともに公園に移された。

 D51とワフは新潟県上越市の第三セクター・えちごトキめき鉄道に貸し出され、同社直江津駅構内で公開される予定。5日からD51の解体にとりかかり、30日夜に陸送するという。公園内にある有田川町鉄道交流館の今井敏郎館長は「保存会のメンバーが大事に整備してきたのでどちらもぴかぴか。望まれて行く先で有効利用されてほしい」と話している。

 有田川鉄道公園では3、4の両日、小型ディーゼル機関車につないで走るワフの乗車体験を実施する。中学生以上300円、小学生100円。(大野宏)

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