[PR]

 山梨県内で自転車に乗る人に今月から、自転車事故の損害賠償保険への加入が義務付けられた。全国では事故で高額な賠償金を請求される事例が起きており、県が条例をつくり義務化した。罰則はない。

 対象は自転車利用者(未成年の場合は保護者)や仕事で自転車に乗る事業者、レンタサイクル業者。

 自転車保険が注目されるきっかけは、神戸市で2008年、自転車の男子小学生と歩行者女性との衝突事故だった。女性は重体になり、裁判で男児の母親に約9500万円の支払いを命じる判決が確定。母親は自己破産し、女性側に賠償金は支払われなかった。その後、保険加入を促す条例をつくる自治体が増えた。

 県は「自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例」案をつくり、2月の県議会で可決された。

 県警によると、県内で起きる交通事故の約1割を自転車事故が占める。1月には、自転車の高校生が交差点で男性と衝突し、男性は頭を打つ重傷を負った。

 保険は種類が多く、県には問い合わせが増えている。自転車単独の保険に加え、自動車や火災保険などの特約で付いているものもあり、交通政策課の担当者は「まずは加入している保険の内容を確認してほしい」と求める。

 県警は保険加入の義務化を、運転マナーを見直す機会にしようと啓発活動も進めている。

 日下部署とJAフルーツ山梨などは9月末、8割以上の生徒が自転車通学をする甲州市の松里中学校で、スタントマンが事故を再現する「スケアード・ストレート(恐怖の実感)」を取り入れた安全運転教室を開いた。署員は左側通行や一時停止の厳守などのほか、「自転車は加害者になることもある。保険に入っているかどうか、両親に確認してほしい」と呼びかけた。

 3年の田口幸斗さん(15)は「自転車に乗ることは車に乗ることと同じだと思い、安全に乗るようにしたい」と話していた。(玉木祥子)

関連ニュース