[PR]

 赤城山のふもとの断崖から、しぶきを上げて流れ落ちる。群馬県渋川市赤城町にある「棚下不動の滝」は、滝の裏側の崖が大きくえぐれた洞窟になっていて、ぐるりと回り込んで眺めることができる。「裏見の滝」として知られ、「日本の滝百選」にも選ばれた。

 落差は約37メートル。水量は多くはないが「四季折々の魅力がある」と、滝の近くにある大岩山不動堂の氏子総代石坂隆一さん(72)。夏は涼しさを運び、秋が深まると紅葉に映える。そして「冬は冬で美しい」。

 滝の裏側には不動堂の「奥の院」があり、不動明王がまつられている。棚下自治会の住民が毎月2回、トイレ清掃などの管理をし、参拝者や見物人を迎え入れている。

 自慢の滝に近づけない時期があった。2011年3月11日の東日本大震災で右岸側の断崖が崩れ落ち、奥の院への参道が壊れた。今も岩にふさがれている。左岸側に新たに階段が設けられ、震災から8年ぶりに昨年3月、「裏見」が復活した。ところが3カ月後に大雨で階段が流され、またもや近づけなくなった。

 今年8月、コンクリート製の階段が新たにできた。裏見の滝を楽しめるようになり、この夏は見物客が戻ってきた。白装束で滝に打たれる人もやってくる。石坂さんも60歳の時に「滝行」を体験してみた。「夏だったけど、落ちてくる水の圧力と冷たさで1分が限界だった」という。

 毎年1月28日に不動尊のお祭りがある。真冬でも参拝や滝行に挑む人が来る。何を祈るのか。コロナ禍の収束を願いたい。(柳沼広幸)

     ◇

 〈棚下不動の滝〉 群馬県渋川市赤城町棚下。雄滝と雌滝があり、利根川に注ぐ。裏から眺められるのは雄滝。断崖を流れ落ちる雌滝は近づけず、遠くから眺める。関越道赤城インターチェンジから車で約20分。雄滝には、ふもとの駐車場から山道を10分ほど登る。

関連ニュース