[PR]

 「普通の公立高」の快進撃が止まらない。高校野球の秋季大阪府大会は4日、大阪市の大阪シティ信用金庫スタジアムで3位決定戦があり、創部初の4強に進出した山田が前年の全国王者、履正社に2―1で逆転勝ちし、17日から始まる近畿大会出場を決めた。

 山田は、吹田市にある1984年創立の公立校。部員33人で、ほとんどが地元中学の軟式野球部出身だ。練習時間は1日2時間程度。校庭のグラウンドはサッカー部、陸上部、ハンドボール部と共用で、紅白戦もできない。内野ノックすらまともにできない日もあるという。

 そんな「よくある普通の公立校」(主将・尾崎紀昭)が今大会、旋風を起こしてきた。

 4回戦で浪速、5回戦で上宮、準々決勝で大阪産大付と強豪私学を次々と破った。新チーム発足後、練習メニューを選手だけで決めるなど「考える力」を養ってきたとはいえ、「できすぎ。ベスト16を目指していたのでびっくり」とチームを率いて5年目の金子恭平監督は驚きを隠せない。

 3日に行われた準決勝の東海大仰星戦はコールド負けしたが、この日の3位決定戦では1点差で終盤まで食らいつき、九回に履正社のミスにつけ込んで2点を奪って逆転。大一番で持ち味の粘り強さを発揮した。

 快進撃を支えたのが、背番号3の技巧派右腕・今立尚希とエースの坂田凜太郎。今立は横手と下手の中間くらいの位置から、110キロほどの直球と80キロ台のスライダーの2種類を低めに投げ分け、坂田は右上手から力強い直球を投げ下ろす。継投で勝ち上がってきたが、履正社戦は坂田が完投した。

 大阪の公立校が秋季近畿大会に出場するのは1994年の市岡以来、26年ぶり。この大会は来春の選抜大会出場校選考の参考資料となるため、山田にとって初となる甲子園出場へ向け前進した。尾崎は言う。「僕たち一人一人は下手くそだけど、まとまって戦えば勝てるんだぞ、というのを見せたい」。ここまで来たら、甲子園も夢物語では終わらせない。(山口裕起)