藤田知也
第一生命保険の女性営業社員(89)が顧客から不正にお金を集めたとして同社が詐欺容疑で山口県警に刑事告発した問題で、被害者のひとりが朝日新聞の取材に応じた。有数の営業成績を誇った社員が言葉巧みに持ち去ったのは、家族を失った顧客が受け取ったばかりの死亡保険金5千万円だった。
第一生命によると、山口県が拠点だった社員は約10年前から今年4月まで、少なくとも21人の顧客から計19億円のお金を不正に集めたという。今年6月に顧客からの連絡を受け、調査をへて7月3日付で社員を解雇。山口県警に詐欺容疑で刑事告発した。
取材に応じた40代の女性は昨年はじめ、山口県の実家に住む母親を亡くした。遺品の整理などに追われていたところ、母親が加入していた保険について説明するため、この社員が訪ねてきた。
母親とは数十年来の付き合いで、社員の名前は母親からも聞いていた。地元の財界人や政治家とも幅広い交友があり、名士としても知られた存在だった。
母親の死亡保険金は5千万円。保険金をすぐに受け取るか、一部や全部を第一生命に預けるかを選べた。すぐに使う用件がなかった女性がしばらく預ける考えを伝えると、社員は「信用してくれてありがとう」と感謝。そのときは別の営業社員も同行していた。
だが、その翌日あたりから電話が頻繁にかかってくるようになり、社員はこんな話を持ちかけてきた。
「第一生命には私の『特別枠』…
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朝日新聞社会部