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 来年で東日本大震災から10年。この間、「被災者だから」「被災者なのに」といった言葉をたくさん見聞きし、使ってきた。復興が曲がりなりにも進み、「もう被災者じゃない」と言う人もいる。ここらで一度立ち止まり、考えてみよう。「被災者」って誰?

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 「いつまで被災者か」。最近、行政担当者から聞くようになった言い方だ。住宅の再建がほぼ終わり、国からの手厚い財政措置は来年度からは細る。被災者支援策は福祉などの一般施策にいずれ移行すべきだ、との考えがにじむ。被災者担当の専門部署を廃止する自治体も、相次いだ。

 岩沼市で被災し2015年から仙台市太白区の災害公営(復興)住宅で暮らす飯塚正広さん(59)も、少し前までそう考えていた。復興住宅は一般入居者が増えている。共存しつつ、被災者も「市民」に戻る時期が来ている、と。

 ところが昨年、妻が急死し、自身は心の病をわずらった。振り返れば、震災以来の疲れが心身にずっしりとたまっていたのだ。「後戻りしてしまった僕のように、助けを求める被災者が見えないところで埋もれている。『復興住宅入居者』といった一くくりでなく、個々に応じた支援が必要」と話す。

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 政治家は「被災者の皆さんに寄り添って」と、口では言い続けてきた。

 河村和徳・東北大准教授(49)は「政治学からみれば、復興とは、被災者と非被災者のはざまで、『少数決』がどんどん難しくなる過程だ」と言う。どういうことなのか。

 県や市といった自治体単位でみると、必ずしも全住民が直接・間接的被害を受けたわけではない。ただ災害直後は非被災者も、復興政策を進めることに同意する傾向が強いという。だから政治家は選挙で多数の支持を得ようと、復興を声高に訴えた。

 だが暮らしの再建が進むにつれ、自分は被災者と思う人は減り、非被災者の中からは、「もう被災者支援はいい」と考える人が現れる。多数決に基づき、政治の争点は「ポスト復興」に移ってゆく。「選挙のたびに震災は風化する」と、河村さんは指摘する。

 本当はいま政治を必要とするの…

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