水の都ベネチアで「モーゼ計画」 浸水防ぐ巨大水門稼働
ローマ=河原田慎一
「水の都」として知られるイタリアのベネチアで、高潮被害を防ぐためにつくられた巨大水門が3日、初めて稼働した。ベネチア市は、同日正午(日本時間同日午後7時)過ぎに最大125センチの高潮が起きると予報していたが、市の歴史地区がある潟と海の間を水門が仕切ったため、水面の上昇は約70センチに抑えられたという。
ベネチアでは毎年秋から冬にかけ、強い南風を受けた海水が押し寄せて水面が上昇し、高潮による浸水被害が起きてきた。昨年11月には観測史上2位となる187センチを記録し、歴史地区の大半が被害を受けた。
同国政府は、高潮対策として総工費約55億ユーロ(約6800億円)をかけた「モーゼ計画」を進めてきた。巨大な水門を海底に寝かせた形で設置し、高潮の際に水門を起き上がらせて海水の潟への流入を防ぐ。2003年に始まった工事は、汚職事件や経済危機の影響で進まず、昨年にようやく完成した。(ローマ=河原田慎一)
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