復興の象徴に、安平町に小中一貫の義務教育学校

原田達矢 磯部征紀
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 安平町は胆振東部地震で大きな被害を受けた町立早来中学校を、復興のシンボルとして小中一貫の義務教育学校に再建する。2023年4月の開校に向け、準備は着々と進んでいる。

 早来中の校舎は1971年の建築で老朽化が進んでいたところに、胆振東部地震が起きた。校舎の床にはひびが入り、体育館の壁が崩れ、グラウンドに亀裂が生じるなどの被害が出た。

 地震の4カ月後、生徒たちは元の校舎から約800メートル離れた場所に建てられたプレハブの仮設校舎に移った。全校生徒は102人。発災から2年が経った今も、生徒たちは仮設校舎で学校生活を送る。

 仮設校舎には体育館やグラウンドがないため、入学式や卒業式などの学校行事は隣接する早来小学校の施設を借りて行っている。教室の壁は薄く、吹奏楽部は外に音が漏れていないか気を使いながら練習する。昨年8月に各教室にエアコンが設置されたが、プレハブ材は熱がこもりやすく、夏の暑さは厳しいという。

 早来中の木村義人校長(60)は「生徒たちは避難所でも授業を受けた経験があり、不便な環境にもよく対応してくれている」とねぎらう。

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 被害を受けた早来中は校舎の老朽化もあり、時間と費用をかけて復旧させても使い続けるのに限界がある。このため町は、早来小のある地域に小学校と中学校を一体化した「義務教育学校」を設立することにした。復興の象徴として22年秋に新校舎を完成させ、年明けには小中学生が新校舎で授業を受ける。義務教育学校としては23年4月の開校を目指す。

 総事業費は約35億円。敷地面積は約5万2千平方メートル、建物は2階建てで、1階部分と2階の外壁は鉄筋コンクリートを使うが、屋根は木造で軽くし耐震性を高める。

 南側を小学校、北側を中学校のエリアにし、教室をつなぐ廊下は広々とした吹き抜けの造りで、本棚やテーブルなどを置けるようにした。「光のプロムナード」と名付け、学校、学級を超えた交流の場にする。

 図書室は住民も利用できるようにして、地域の図書館としての役割も持たせる。創作アトリエ、キッチンスタジオといった特別教室も、授業がない時間帯などに住民が利用できるようにする。

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 開校に向けて、教員たちも準備を進めている。6月からは中学校の教員が小学校に出向く「乗り入れ授業」を始め、5、6年生に算数や理科を教えている。中学進学に対する児童の不安を解消し、小中の教員の連携を深めるメリットがあるという。

 一貫校での学習カリキュラムは小中の教員が一緒に作る。8月には教員による話し合いが初めて開かれ、どんな子どもを育てていくかを明確にする、乗り入れ授業を続けるといった方針を確認した。

 早来中の木村校長はまもなく定年を迎える。再建後の学校を校長という立場で迎えることはかなわないが、「町民からも期待が寄せられ、学校の再建が復興のシンボルになってきていると感じる。責任は重いが、新たな学校を軌道に乗せるための土台づくりをしていきたい」と話す。(原田達矢 磯部征紀)

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