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 菅義偉首相は目指す社会像として「自助・共助・公助」を掲げた。コロナ禍で「まず自助」を打ち出したことには反発も出ている。よく使われる言葉だからこそ、その意味を考えたい。

勝間和代さん「自助は必須だが…」

 「自助」と言えば、「天は自ら助くる者を助く」で知られる19世紀英国の著述家スマイルズの「自助論」が浮かびます。明治時代に「西国(さいごく)立志編」として翻訳されると、主体的に生きようとする青年らに支持され、ベストセラーになりました。自己啓発本のはしりで、今も経営者や政治家らに愛読されています。

 私も20代で、この本に出会いました。「自分の人生は自分の手でしか開けない」「人に頼ってはいけない」……。日々の努力の積み重ねが、人生を切り開くという教えに勇気づけられました。

 当時の私にとって「自助」とは何だったか。女性でも、差別なく働ける外資系企業を探して就職しました。働く母親たちの悩みを語り合い、保育園の探し方や転職情報を交換する場をネット上につくったこともありました。

拡大する写真・図版経済評論家の勝間和代さん 1968年生まれ。外資系コンサルタント会社などをへて独立。中央大学ビジネススクール客員教授。

 3人の娘には、ことあるごとに「自助」の大切さを教えました。資格をとる。自立できる仕事を探す。世の中が変わるのを待っていてから動くのでは、遅すぎるからです。

 自助論を批判する人はそれが自己責任論と同じだと考えるようですが、誤解です。昔から世の中は家族や友人、地域の人が互いに助け合うものであり、現代では最終的に国家がセーフティーネットを用意するのは当然だからです。

 私は、ささやかであっても個人が自助努力するからこそ、周囲も助けてくれるのだと思います。自分は何もせず、助けばかり求めていても、周囲は当惑するだけです。自助と共助は一体だと考えるべきものです。

 政府が経済を統制していた社会主義国では、個人が私権を制限されて、自助の発揮が構造的に難しい状況でした。いくら公助を充実させてみても結局、国家の衰退を招きました。

 一方、日本を含む資本主義国では自助は必須のものです。ただし、市場において万人に公平な機会が与えられ、公正な競争が行われるという大前提があってのことであることを忘れてはなりません。

 閣僚や官僚の人事や国家事業で「お友達」を優遇した安倍政権は、こうした根本認識が不足していたと思います。女性、地方在住者、低学歴者などすでに大きなハンディを抱える人たちへの配慮にも欠け、結局、今もなお環境は是正されていません。

 安倍政権の継承を掲げる菅政権…

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