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 関西電力高浜原発3、4号機(福井県高浜町)は火山の降灰対策が不十分だとして、福井、愛知、大阪など5府県の9人が5日、国を相手取り、両号機の停止命令を出すよう求めて名古屋地裁に提訴した。東京電力福島第一原発事故を受けて導入されたバックフィット制度で追加対策が求められたのに運転している現状は、同制度の趣旨に反すると訴えている。

 国の原子力規制委員会は両号機について、2015年に規制基準への適合を認めた。だがその後、約180キロ西にある鳥取県の大山(だいせん)で過去に起きた噴火の規模が想定より大きかった可能性があることが判明。規制委は19年6月、想定降灰量を引き上げた安全対策の審査申請をするよう命じた。一方で、大山が噴火する切迫性は低いと判断し、運転停止は命じなかった。

 13年施行の改正原子炉等規制法で、既存の原発に対するバックフィット制度が導入された。基準に適合しない場合、規制委が原発を停止させたり、改造や修理を命じたりすることができるようになった。命令に従わない場合、懲役1年以下もしくは100万円以下の罰金といった罰則も設けられている。

 訴状で原告側は、バックフィット制度で審査中の原発に対し、規制委がどのような場合に運転停止を命じるのか具体的な基準がなく、「制度が恣意(しい)的な運用となる可能性がある」と指摘。今回の関電が受けた高浜原発など3原発のバックフィット命令は、安全対策を講じる期限も設けられておらず、規制委の裁量の逸脱や乱用があると主張している。

     ◇(大野晴香)

 <バックフィット制度> 基準に適合していると判断された原発について、自然災害の影響など最新の知見が得られた場合、電力会社にその基準に適合するよう対策を義務づける制度。テロ対策など、これまで13件の運用例があり、九州電力の川内原発1号機は停止に追い込まれた初のケースとなった。規制委が命令を出したのは関電の3原発のみ。