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 11月1日に控える大阪都構想の住民投票。朝日新聞は行政機関がつくるパンフレットや政党、政治家が掲げる公約や発言が事実に即しているか、断定できるのかを検証する「ファクトチェック」を行います。

これをファクトチェック

《大阪維新の会が作成した9月15日発行のチラシ》

 (Q)特別区になると、消防車の到着時間は早くなるの?

 (A)早くなる。消防本部からの指令が一元化されるため、現場に近い消防署が対応する。最初の通報段階から必要な規模の消防車を出動させることができる。特別区の消防は、現在の大阪市内の消防体制がそのまま移管される。

【間違い】 体制・エリア変わらず

 大阪市消防局に確認したところ「政党のチラシに意見を述べる立場にない」と前置きした上で、こう説明した。「特別区の設置時点では、消防体制もエリアも変わらないため、現着時間が変化することはない」

 大阪都構想の協定書によると、都構想が実現した場合、大阪市消防局の所管は府に移り、名前は「消防庁」に変わる。約3500人の職員と消防車や救急車などの資材もそのまま府に移る。同じような名前を使う「東京消防庁」は都内のほぼ全域をカバーするが、大阪の「消防庁」が担当するエリアは旧大阪市。四つの特別区だけだ。維新のチラシにある「消防車の到着時間」に変化が生じる要素はない。

 現在、大阪市内で消防車を呼んだ場合、市消防局の指令情報センターで119番通報を受け、出動規模を判断する。現場に最も近い消防車や救急車を出動させる仕組みになっている。大災害の発生時には迅速に対応する観点から、協定を結ぶ近隣自治体の消防に応援を要請する場合もある。

 維新のチラシが念頭に置いているのは、都構想を実現させた後、消防行政を広域化させた場合のことだ。2019年に策定した府の消防広域化推進計画では、おおむね10年後までに府内に27ある消防本部を八つ程度に再編し、将来的には一元化を目指すとしている。

 大阪の消防庁の担当エリアが大阪市以外にも広がった場合、最寄りの消防署が近隣自治体にあるという地域なら、消防車が速く到着する可能性がある。

 しかし、消防行政の広域化は、都構想とは別の議論で、周辺市町村の同意も必要だ。維新代表の松井一郎・大阪市長は、チラシの内容が都構想の協定書から外れて不適切ではと記者団に指摘されると「我々は(防災力強化を地方選で)公約に掲げているので、飛躍とまでは言えないんじゃないの」と述べた。(本多由佳)