「これから利益、矢先にコロナ」 エアアジア再び撤退
格安航空会社(LCC)のエアアジア・ジャパン(愛知県常滑(とこなめ)市)は5日、事業から撤退すると発表し、12月5日付で全4路線を廃止すると国土交通省に届け出た。新型コロナウイルスの影響で落ち込んだ利用客の回復が見通せず、マレーシアを拠点にするグループの経営悪化で、支援を受け続けることが困難となった。新型コロナの影響で国内の航空会社が事業撤退するのは初めてとなる。
エアアジアは1993年にマレーシアで設立した。一時は経営破綻(はたん)状態となったが、現在最高経営責任者(CEO)を務めるトニー・フェルナンデス氏が2001年に買い取り経営手法を一新。タイやフィリピンなどアジア各地に現地法人を設立するなどし、アジア最大手のLCCに成長した。
日本への初就航は10年。長距離路線を運航するグループ傘下「エアアジアX」が羽田―クアラルンプール線の運航を始めた。新型コロナの感染が拡大する直前は、グループ全体で約20路線が日本に就航していた。
2度目の日本法人
エアアジアにとって日本法人の撤退はこれで2度目となる。11年に全日本空輸(現ANAホールディングス)と合弁で旧エアアジア・ジャパンを設立して参入したが、業績不振などを理由に13年に合弁を解消し、撤退していた。
グループで2度目となる日本法人のエアアジア・ジャパンも楽天やアルペンなどから出資を受け14年に設立。17年から中部空港(愛知県常滑市)を拠点に札幌、仙台、福岡をつなぐ国内線のほか台北線も就航させていた。
同社は就航から2年足らずの19年8月に累計搭乗者数が50万人を突破。当時、朝日新聞の取材に、20年中に保有機体数と路線数を倍増させ、累計搭乗者数は20年前半に100万人に到達するとの計画を示していた。
高い搭乗率を維持して価格を下げ、成長してきたLCC。そのビジネスモデルがコロナ禍で揺らぎ、エアアジア以外の国内LCCも苦戦を強いられています
ただ、14年の設立から単独…