光触媒塗り殺菌 九工大、小倉駅のホテルで実験
九州工業大(北九州市戸畑区)の横野(おうの)照尚教授が研究開発した光触媒の殺菌効果を試す実証実験が5日、小倉北区のJR九州ステーションホテル小倉で始まった。新型コロナウイルスに苦しむ宿泊施設などでの効果が期待されている。
横野教授によると、光触媒(酸化チタン)は紫外線に当たることで酸化反応が起き、細菌やウイルスなどの有害物質を分解する物質。福岡市のペイペイドームなど多くの建物の外壁に光触媒を含む塗料が活用されている一方、太陽光に比べて紫外線の量が少ない屋内の照明では十分な効果を得るのが難しいという。
横野教授は酸化チタンの粒子の反応を制御することで高い効果が得られる技術を編み出した。鉄化合物と酸化チタンを組み合わせた、紫外線を含まない光でも酸化反応を起こす触媒の開発にも成功。この触媒を含む塗料を外部機関が試験したところ、100万個のインフルエンザウイルスが6時間後に千個に減ったことが確認されたという。
実証実験では客室3部屋や会議室、レストランの個室の壁や天井、カーテンなどに横野教授が研究開発した技術を用いた光触媒コーティング剤を塗りつけ、ウイルスなどの数の指標になる物質「アデノシン三リン酸」の量の変化を計る。
実証実験はJR九州ステーションホテル小倉側から九工大に持ちかけた。結果はJR九州グループで共有し、成果が上がれば導入拡大も検討するという。同ホテルの黒木俊彦社長は「目に見えない新型コロナウイルスへの対策を考える中で、北九州初の横野先生の技術を何とかホテルでも応用できないかとお話をしてきた」と述べた。
横野教授は、新型コロナウイルスへの効果については現在、外部機関に評価を依頼して結果を待っていると説明。これまでに得たインフルエンザウイルスや青カビなどへの性能評価の結果から「青カビよりも千倍以上小さなウイルスへの除去性能も期待できる」と話した。(吉田啓)
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