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 大学の研究や教育を支える女性技術職員をもっと知ってほしい。そう考えた大阪大の有志がネットワークを結成した。技術職員は「縁の下の力持ち」的な役割で、教員らに比べて光が当たりにくい。交流を広げ、より働きやすい環境を実現していくのが目標だ。

 阪大豊中キャンパス(大阪府豊中市)で9月29日、「部局横断型女性技術職員ネットワーク」の発足を記念するセミナーがあった。オンラインでの参加者を合わせ、全国から約100人が集まった。

 「各大学や学会で多様性に配慮した取り組みが進んでいるが、技術職員を対象としたものはほぼない。疑問と寂しさを感じてきた」

 ネットワーク発起人の中本有紀さん(55)はこうあいさつした。阪大基礎工学研究科技術部で、技術職員をまとめる技術長だ。工学博士として高圧力下の超伝導について研究しつつ、教員から頼まれたデータの測定や分析などを担う。1989年に阪大に就職し、研究や教育の現場を支えてきた。

 阪大全体では、技術職員は182人おり、うち約2割が女性だ。大学教員については近年、女性の比率や人数は積極的に公開されるようになってきた。一方、技術職員の実情はあまり伝えられてこなかった。

 そこで中本さんらは昨年2月、阪大の女性技術職員のネットワークを結成した。現在、23人が登録している。職場の働きやすさや技術力向上に向けた支援策を提案するため、情報交換や交流を重ねてきた。

 学外にも技術職員の存在を知ってもらうため、この夏は小学生対象の顕微鏡製作体験講座や親子向けの科学授業を初めて開いた。

 阪大蛋白(たんぱく)質研究所技術部の川上恵子さん(48)は20年余り、教授らから依頼されたデータの分析を最短時間で終えることにやりがいを感じてきた。「ネットワークができて、子ども向け講座など新たな仕事もできて楽しい」

 中本さんは「性別を問わず技術職員が力を発揮できれば、日本全体の研究力向上にもつながる」と話す。

 セミナーでは、阪大の女性技術職員の体験発表も。元素分析装置や電子顕微鏡の保守管理などにあたる江口奈緒さん(32)、学内ネットワークのセキュリティー対策を担う川妻(かわづま)恵理さん(41)、がん治療の研究に携わる日下祐江(くさかさちえ)さん(33)らがそれぞれ仕事の魅力や難しさを語った。

 保育所に通う子2人を育てている日下さんは「出産や育児、介護などで研究時間が限られる研究者が対象の支援制度を技術職員にも広げてほしい」と訴えた。

 セミナーには東京工業大戦略的経営オフィスの江端(えばた)新吾教授(宇宙化学)も登壇し「技術職員は大学での立場が低く、声が執行部に届きにくい」と指摘した。「優れた技術で大学に貢献しているのに、適切な評価や活躍の場を与えられていない」として、「技術職員の『見える化』を進める必要がある」と強調した。(花房吾早子)

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