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 静岡県藤枝市立小学校に今春、医療的ケアが必要な子どもが3人入学した。チューブなどを使った経管栄養やたんの吸引のため、市が新たに雇用した「学校看護師」の活動が本格化している。

 藤枝市立高洲南小学校の学校看護師戸張未央(とばりみお)さん(47)の昼は忙しい。午前11時半に、校舎2階の特別支援教室で冷蔵の経管栄養剤を常温に戻し、注入の準備をする。先天性の疾患で口から食事をとることができないサッちゃん(6)の「昼食」だ。

 10分後、1階に下りて1年生の教室で授業を受けているリュウくん(7)のそばに行き、測定器のモニターで血糖値を確認する。リュウくんは血糖値を調節するインスリンがつくられなくなる1型糖尿病だ。「前の休み時間に低めだったので、念のため」。

 2階にとって返し、トイレから帰ってきたサッちゃんの様子をみる。入学から半年。お尻を床について移動していたサッちゃんが自分で歩いてトイレに行き、排泄(はいせつ)できるようになった。めざましい進歩だ。サッちゃんが席に着くと、鼻から胃に通した管と栄養剤のチューブをつないだ。栄養剤が落ち切るまで約1時間かかる。

 4時間目の終わりを告げるチャイムが鳴った。さあ、給食だ。再び1階に下り、リュウくんの元へ。教室隣の相談室で血糖値を測る。やや低い。配膳が済み、給食が始まる直前に、おなかにインスリンを注射した。パンとご飯では血糖値の上がり方が異なるという。献立の内容もチェックが必要だ。

 戸張さんは「病気や障がいがある子たちが安心して授業に参加できるように支えたい」。日々、めざましく成長する子どもたちを見るのが、楽しみだという。

 青島小学校では熊谷泰子さん(45)が働く。通常学級に在籍する1年生のキミちゃん(6)は気管切開を受けており、たんの吸引が必要だ。熊谷さんはキミちゃんに付き添って、器具(カニューレ)を拭き取ったり、たんの排出を促したり。キミちゃんは体温調節がうまくできないため、熱や汗の状況もこまめに観察している。

 授業に集中してほしいので、看護処置は休み時間に行うことが多い。一方で、キミちゃんが友達と遊びたい気持ちも尊重したい。熊谷さんは適切なタイミングで処置に入れるよう気を使っている。

 両校の子どもたちが受けている措置は医療行為にあたり、看護師のほか、一定の研修を受けた介護職員や家族にしか担えない。藤枝市内では、従来は家族が付き添い、医療行為が必要な子どもを普通学校で受け入れてきた。家族の負担軽減や、多様な子どもがともに過ごす学校の実現に向け、市は今年、学校看護師の予算として450万円を計上した。

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 おことわり 子どもたちの名前は仮名です。(阿久沢悦子)