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 介護業界最大手のニチイ学館の創業一族と買収ファンドのベインキャピタルによるマネジメント・バイアウト(MBO、経営陣による企業買収)が成立し、10月16日に開く臨時株主総会で役員の顔ぶれが一新される。だが、あわただしく行われたMBOは、M&Aの専門家たちが首をかしげる問題点をいくつも抱えていた。

 ニチイ学館を創業した寺田明彦会長(当時)は2019年7月11日、東京・内幸町の日本プレスセンタービルで、ベンチャー経営誌「企業家倶楽部」の主催する企業家特別賞の授賞式に登壇した。「栄えある賞を受賞し、ここで私たちの創業の話をしたいと思います」――。

 もともと、せっけんの営業マンだった寺田氏は、たまたま訪問先の病院が診療報酬の請求明細書づくりに苦労するのを見て、医療事務代行業を起こすことを決意。その後、1996年に介護保険事業に参入し、不祥事で揺れたグッドウィル・グループ傘下の同業のコムスンを買収して業容を拡大してきた。そんな沿革を語った後、寺田氏は「医療、介護、保育を軸に各地で雇用を創出し、第二の創業としたい」と23分間のスピーチをしめくくった。20年3月期の連結売上高は2525億円、従業員3万4千人を抱える。

 この授賞式から約3週間後、寺田氏は末期がんにあることが分かった。本人は「絶対に会社に復帰する」と意欲を燃やしていたが、9月28日、膵臓(すいぞう)がんによって83歳で急死した。

 生涯現役のカリスマ的な創業者を失ったことで、ニチイは経営の求心力を失った。そして資産管理会社の保有分も含めて42%強もの株式を保有する創業経営者の急死は、3人の元妻と5人の子供らの遺産相続という問題も同時に浮かび上がらせた。「第二の創業」は、予想外の形でニチイに到来したのである。

買収者は社外取締役

 ニチイの公表資料によれば、創…

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