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 日本独自の数学「和算」の問題や解答を絵馬などに描き、寺社に奉納した「算額」。江戸時代に垂井町宮代の南宮大社に奉納され、後に紛失したとされる「算額」を地元の元高校数学教諭、水野隆生さん(70)が復元した。3日に同神社に奉納した水野さんは「貴重な文化を復元し、奉納できてよかった」と話している。

 地域の観光案内ボランティアの傍ら、県内の算額について調査、研究してきた水野さん。江戸時代に大垣で和算塾を開いていた和算家、谷幽斎(1800~41)の門人らが1842(天保13)年に南宮大社に算額を奉納したが、今は行方がわからなくなっていることを知り、「地域に和算の文化があった証しを残せたら」と、復元を思い立った。

 県内の算額についての研究書「岐阜県の算額の解説」(高木重之著)や、門人らが養老町の田代神社に奉納し、現存する算額などを参考に、12個の図形問題を復元した。算額は長さ188センチ、高さ68センチのヒノキ製。問題はすべて漢文で、色つきの図形、解答と出題者らの名前も再現した。復元費用は、水野さんの友人や全国の和算の研究者ら約20人で出し合った。

 問題には「相似形」や「三角関数」など、中学、高校数学の知識で解けるものから研究者レベルまであるという。ただ、算額に解法は示されておらず、水野さんは「江戸時代には、奉納された算額の問題を考えて楽しんでいた。多くの子どもが和算に触れ、新たな解法を見つけてくれたら」と話す。

 南宮大社の上月(こうづき)智也宮司は「貴重な算額が復元され、非常にうれしい。後世の亀鑑(模範)とさせていただきたい」と話した。

 奉納された算額は、南宮大社の北回廊に飾られ、希望者は見学できる。水野さんは解説と解答のほか、解法例についての冊子(A4判、35ページ)もまとめており、垂井町観光案内所で1千円(税込み、協力金を含む)で販売している。問い合わせは、同観光案内所(0584・23・2020)へ。(板倉吉延)

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【問題例】(現代文訳)

 楕円(だえん)内に赤円2個と最も多くの青等円を入れる。赤円2個と青円1個との直径の和は短径に等しい。青円3個から始めて逐次偶数個を増すとする。赤円径と青円径をそれぞれ知って青等円の個数を求めよ。

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