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 フィンランドのアパレルブランド「マリメッコ」のデザイナーを務め、退職後は同国の名窯(めいよう)「アラビア」で陶芸家として活動してきた石本藤雄さん(79)が9月、半世紀過ごした同国から故郷・愛媛に活動拠点を移した。松山市のギャラリー「Mustakivi(ムスタキビ) Kolme(コルメ)」で開催中の個展「石本藤雄展 実り」では、帰国前に手がけた作品群「果物」を披露している。

 深みのある緑や黄色に、温かみを感じるゴロッとした丸い焼き物。ギャラリーの中央のテーブルに、八つの「果物」が並ぶ。ミカンやリンゴをイメージさせる独特の形は、原風景である故郷のミカン山の記憶から生まれたという。

 石本さんは愛媛県砥部町のミカン農家に生まれ、東京芸術大でグラフィックデザインを学んだ。30歳を前に世界一周の旅へ。1970年、フィンランドに移り住み、現地で職を得た。

 マリメッコに32年間、テキスタイルデザイナーとして勤め、生み出した作品は約400点に及ぶ。50歳のころ、「手で何かを作りたい」と陶芸の創作を始めた。「手仕事」の原点は、子どものころ、家業の農作業の手伝いで経験したものづくりにあったという。

 海外で過ごしながらも、いつか日本に戻りたいと思い続けてきた。今年、50年の節目を迎え、日本での仕事を機に帰国を決意した。2017年から松山市に開いていたギャラリーをいったん閉じ、同じ建物に今年9月、新たな発信拠点ムスタキビ・コルメを開いた。

 コロナ禍で帰国が予定より遅くなり、今後の創作活動のめどはまだ立っていないという。ただ、「陶芸は続けたい。手仕事で体を動かすことは、健康のためにもなります」。ギャラリーでは、砥部焼など県産品とのコラボ商品も扱い、地元愛媛を意識した発信にも力を入れている。

 「石本藤雄展 実り」は11月29日まで、松山ロープウェー商店街にあるムスタキビ・コルメ(松山市大街道3丁目、089・993・7497)で。営業は土日・祝日のみの午前11時~午後5時。入場無料。(足立菜摘)

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