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 風邪薬の売り上げが落ちている。新型コロナウイルスの感染拡大で、手洗いやうがいの習慣が定着したり外出自粛が広がったりして、風邪をひく人が減ったことが原因とみられる。人口減少によって市場規模の縮小局面が続くなかで、新型コロナが追い打ちをかけたかたちだ。製薬各社は商品の差別化で生き残りをかける。

 調査会社インテージヘルスケアの推計によると、いわゆる風邪の諸症状を対象とする「総合感冒薬」の週当たりの売上高は、2月下旬に前年比で7割ほど増加した。主に中国での新型コロナ流行が話題になっていた時期で、日本でも体調不良に備える意識が高まって家庭での買い置き需要が増えたからだという。

 ところが、4月に緊急事態宣言が出てからは、売り上げが一気に落ち込んだ。4月下旬には前年の半分ほど。宣言が解除された5月後半ごろから改善する場面もあったが、8月でも6割台で推移している。

 背景には、新型コロナの感染防止策が進み、風邪をひく人が減ったことがあるとみられる。武田コンシューマーヘルスケアの担当者は売り上げ減の理由を「(春以降に)人の動きが制限されたからではないか」と話す。手洗いやうがいの習慣が根付いたことや、外出時のマスクが常態化したことも要因とされる。

 市販薬に詳しいインテージの石田卓也氏によると、2009年の新型インフルエンザ流行時も今回と同様、マスクが売れた一方で風邪薬は低調だったという。「マスクと風邪薬の売り上げには、逆相関の関係がある」(石田氏)

 もともと、風邪薬の市場は人口減少の影響で長期的には縮小傾向にある。インテージの推計では、19年度の売上高は約1千億円で、20年前と比べて2割減った。ここに新型コロナの拡大が加わり、さらに売り上げが落ちた格好だ。

 それに対して製薬各社が近年力を入れるのが、従来よりも熱や鼻水など症状別の対処をうたったり、飲むタイミングを絞ったりした「差別化」だ。

 武田コンシューマーは9月、症状ごとに商品を分けた「ベンザブロックプレミアム」を発売した。前のシリーズの「ベンザブロックプラス」と比べ、各症状に対処するための有効成分の量や種類を変えることで、「症状別」という要素をより強く押し出したとする。第一三共ヘルスケアも8月、せき止めを前面にうたう「ルルアタックCX」を発売した。せきで眠れない際に飲むことに特化した商品という。(江口英佑、真海喬生)

コロナ第2波 東京100days
緊急事態宣言が解除されたのもつかの間、東京は新型コロナウイルス感染拡大の「第2波」に直面する。政治や財界、そして人々はどう動いたのか。100日間のドキュメントで迫る。
【動画】プレミアムA 東京100daysコロナ第2波ドキュメント=西田堅一、藤原伸雄撮影