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 高知県が東京・銀座にアンテナショップ「まるごと高知」を開いて10年が経った。売上額は昨年度、過去最高の約4億7千万円を記録。ショップを拠点にした外商の成約も約46億円に達した。今年は新型コロナ禍で厳しい環境だが、県が目指す県外への販路拡大を牽引(けんいん)している。

 売れ筋の「万能おかずしょうが」や「ミレービスケット」が何百個も積まれたフロア。旬の野菜が季節感を演出し、土産物店というよりスーパーに近い。店を普段使いしてほしいとの思いを込めた陳列だ。

 「まるごと高知」は人口減少で縮小する県内経済を「地産外商」で活性化させようと、2010年8月に開店。同じビルに事務所を構える一般財団法人「高知県地産外商公社」が運営している。

 世帯人数が少なく、主に電車・バスで移動する首都圏の顧客の特性を踏まえ、商品の小型化や軽量化などを提案。規格変更も含め年に約200アイテムの新商品を採り入れる。

 4年目には、目標の売上額4億円を突破した。都内60の自治体アンテナショップの中でも上位で、テレビで取り上げられる商品も多い。地域経済に詳しい大和総研の鈴木文彦さん(50)は「定期的に商品を入れ替え、やる気を感じる」と話す。

 他の店との連携や企業とのタイアップ、利用者アンケートなど販売戦略も多様だ。それに加えて、「外商に力を入れているのが特長。地域商社のような機能を持つアンテナショップは珍しい」と、一般財団法人「地域活性化センター」の担当者は言う。

 外商担当の公社職員は当初は5人だけだったが、15年に大阪、18年に名古屋に拠点を新設。現在は全国で19人に増えた。うち4人は県からの派遣だ。

 「まるごと高知」2階のレストランでバイヤーに試食してもらうなど、商談・ショールームの場としても活用。飲食店オーナーやシェフを高知の農場や食品工場に招いての視察商談なども年々増やしている。

 公社を通じ、宗田節を使った商品を主に県外出荷しているウェルカムジョン万カンパニーの田中慎太郎社長(43)は「自分たちだけでは人脈がなく、アポもとれない。商品がマッチしそうな店を紹介してもらえるので、すごく近道」と話す。自社単独では出店できない大きな商談会も他の県内企業と費用を分担して出店でき、「公社のおかげで販売が広がった」。

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 昨年度の外商成約額は11年度の約13倍。県は「地産外商の効果で、以前は減少傾向だった県内総生産が08~16年度は上昇に転じた」とPRする。

 今年は新型コロナ禍で多くの商談会が中止になり、ショップも一時休業。10周年記念イベントは大々的に集客できなかった。その経験から、今後は外商先とのネットワークを生かしてWEB商談会やネット販売にも力を入れる方針だ。

 公社の藤田靖事務局長(55)は「コロナ前に完全に戻るのは難しいと思うが、新しい客の取り込みや海外への売り込みを目指したい」と話している。(大坪実佳子)

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