コロナ苦の介護事業所 3年ぶり報酬改定で報われるか

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山本恭介
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 介護保険サービスで、事業者に支払われる「介護報酬」の3年に1度となる改定の議論が本格化している。介護報酬は事業所の経営や職員の処遇に直結する。とりわけ今回は、新型コロナウイルス感染症で疲弊する現場にどう報いるかも焦点となる。厚生労働省が年末にかけて見直しの方向性を示し、来年4月から実施する。

 改定に向けた議論は3月から厚労相の諮問機関・社会保障審議会の分科会で行われている。秋に公表される昨年度の介護サービス事業所の経営状況の結果や、業界団体からの聞き取りを踏まえ、厚労省が見直しの方向性を示す。

 介護報酬はサービスごとの基本報酬と、要件を満たせば上乗せされる加算で構成される。最大の焦点は、この二つを合わせた全体を引き上げるかどうかだ。前回2018年度の介護報酬はプラス0・54%と、6年ぶりのプラス改定だった。

 議論の行方を大きく左右しそうなのは新型コロナだ。高齢者は重症化しやすいため、サービスの利用が控えられ、事業者の経営は悪化している。一方で感染症対策を徹底するため、職員の負担は増えている。職員を増やそうにも7月の介護職の有効求人倍率は3・99倍と求人難が鮮明だ。「プラス改定でなければ経営がもたない」(自民党議員)との声もあがっており、基本報酬の増減のほか、加算によって感染症対策をどう後押しするかが焦点となる。

 プラス改定となると介護事業所の収入が増えるが、同時に財源となる公費や保険料、サービス利用者の自己負担も増える。社会保障費の急増を抑えたい財務省などとの間で、激しい綱引きが予想される。

 現状でも新型コロナの特例と…

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