日本のジェネリック医薬品メーカーが海外展開を強化している。国内では政府の支援もあって急ピッチで普及が進み、大きな伸びが期待できないからだ。海外は強力なライバルがひしめくが、特殊な病気に効く新薬や後発薬を投入して、市場を切り開く戦略だ。
国内2強のひとつ、沢井製薬(大阪市)は今夏、米国で後発薬2品目を発売した。2017年に1千億円強で買収した現地メーカーの製品だ。沢井健造社長は「世界一の米国で成功すれば、大きなプレゼンスが得られる」と力を込める。
米国の後発薬市場は10兆円を超す規模がある。沢井の売上高(20年3月期)は1825億円。うち米国は384億円だが、伸びしろは大きいとみる。ただ価格競争も激しいため、ふつうの薬だけでは勝算が低い。
そこで、希少疾患向けの新薬にも参入する。今年6月には東海大発の創薬ベンチャーと組み、難病の筋萎縮性側索硬化症(ALS)の治療薬開発に乗り出す。25年以降に米国での販売を目指す。沢井社長は「市場が価格を決める米国はリスクも大きい。競合の少ない領域を狙う」と話す。
沢井とトップ争いを繰り広げる日医工(富山市、20年3月期の売上高1900億円)は、バイオ医薬品の後続品「バイオシミラー」で海外を攻める。化学合成でつくる薬と違い、細胞で培養して成分を取り出す技術がいる。そこで韓国や米国のメーカーと手を結び、来年にも米国で承認を申請する計画だ。今後、中国にも進出する考えで、海外の売上高を現在の354億円から、さらに増やす。