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 9月にオンラインで開かれた「第7回全国高校生手話パフォーマンス甲子園」に、岡山市の明誠学院高校のチームが初めて出場した。披露したのは、いじめを苦に、22年前に自死した横浜市の高校1年生の詩をもとに作られた曲。遺族から託された思いも演奏に乗せ、未来を夢見た少女の心を届けた舞台だった。

 高校生は1998年7月、命を絶った小森香澄(かすみ)さん(享年15)。高校入学後に所属した吹奏楽部でいじめにあい、心が追い詰められていった。

 死の10日後、父の新一郎さん(64)のパソコンから、香澄さんが9歳の時に書いた詩「窓の外には」が見つかった。吹奏楽部の先輩が一晩で曲を書き上げ、その後、新一郎さんの知人が吹奏楽にアレンジ。20年ほど前から各地で演奏されるようになった。

 部が出来たばかりだった明誠学院高吹奏楽部も演奏を始めた1校。1年生だった佐々木一真(かずまさ)さん(35)が岡山トロンボーン協会の演奏会でこの曲に出会い、「こんなやさしい気持ちで、僕たちも部活をしたい。みんなでこの曲を吹きたい」と強く思った。

 当時の顧問教師も賛同し、音が聞こえない人にも歌詞が分かるよう手話を添え、部の演奏会で披露した。その後、代々受け継がれ、全日本吹奏楽コンクール常連の強豪となった今も、部の演奏会に欠かせない演目になっている。

 香澄さんの両親は、明誠学院高の演奏会に何度も足を運んだ。顧問を務める稲生健(いのうたけし)教諭(55)の計らいで、代々の部員たちに香澄さんの話をする機会も持った。その縁で、2年前、両親は香澄さんが愛用していたトロンボーンを同校に託した。香澄さんの愛器に新しい息吹を注いで欲しい、という思いだった。

 同校は「窓の外には~やさしい心が一番大切だよ」と題し、手話と歌、吹奏楽で手話甲子園に挑んだ。昨年は予選で落ちたが、今年は岡山県勢としても初めて本選に進んだ。

 チームは吹奏楽部から選抜された20人。8人が吹奏楽器、11人が手話歌を演奏した。演技の冒頭、香澄さんのことを手話で説明。香澄さんが死の数日前に残した言葉「やさしい心が一番大切だよ」に込められた気持ちと、いじめをなくしたいという自分たちの思いを、香澄さんのトロンボーンの音色と共に届けた。

 聞こえない人にも楽しんでもらうにはどうするか。メンバーみんなで案を出し合った。録音を流すだけだった伴奏を、作曲家を目指す小林隼人さん(3年)が小編成用に編曲。吹奏楽が手話歌隊と一緒に舞台に立つ生演奏に変更した。楽器の動きで、音楽を想像してもらえると考えたという。また演奏中に隊列を複雑に変化させ、動きだけでも香澄さんの思いが伝わるように工夫した。

亡き娘思い、オンラインで演奏見守る

 入賞は逃したが、隊長を務めた…

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