[PR]

 静岡県内に住むプロのイラストレーターや漫画家、ゲームクリエーターなどが今夏、交流と地域貢献のための団体「シズオカ・イラストレーションズ・ギルド(SiG(シグ))」を立ち上げた。新型コロナウイルスで失った発表と交流の場を取り戻し、地方での文化活動を盛り上げることが目的だという。

 静岡市葵区七間町の市営ギャラリー「文化・クリエイティブ産業振興センター」で11日まで、SiGメンバー8人のイラストやデザイン画、書籍やゲーム映像などを展示している。この「静岡イラストレーター見本市」がSiGとしての初舞台で、週末などは目の前でイラストを描いてみせるライブペインティングや、ネットを通じて共同で作品を描く「絵チャット」のパフォーマンスもある。

 SiGの母体となったのは、静岡市内の専門校で講師を務めるイラストレーターの小杉契(けい)さん、拝郷(はいごう)歩さん、こよいみつきさんらによる月1回の会合だった。情報共有を兼ねて映画や展示会を見に行くうちに人数が増え、同業者の集まりになった。「このメンバーで展示をしよう」となった矢先に起きたのが、新型コロナの流行だった。

 東京で開かれるコミックマーケットや同人誌即売会のコミティア、名古屋のクリエーターズマーケットなど、全国的な交流と発表の場が次々と中止され、都市間の移動も制限された。こよいさんは「商業的でない発表がなくなると、仕事の絵しか描けない。それでは新しい可能性が失われる」。「喜久家系」のペンネームで活動する小杉さんも「大都市をハブにした交流が絶たれた。だから、地元を拠点に文化を再供給したかった」と振り返る。

 ITの発達で、地方都市に住むイラストレーターや漫画家は増えている。小杉さんによると、東京の代理店から受けた仕事が地元企業の発注だったというケースもあるという。「地域に貢献できる絵のプロが、実は身近にいるとアピールしたい」と言う。

 現在、新規メンバーを募集中。条件は静岡にいるプロのクリエーターであること。今後は年1回の合同展示やSiGとしてのイベント参加に加え、イラストレーター志望者を対象にしたセミナーやデッサン会なども検討している。将来的には、多くの団体が参加するイベントを主催することも目標だ。

 地域イベントや地元企業からイラストや映像作成も受け付けており、いくつか打診もある。小杉さんは「プロなのでそれぞれ収入はある。SiGでは収益を重視せず、地域貢献を楽しめるものにしたい」としている。(矢吹孝文)