[PR]

 7日朝、鶴岡市内の住宅街で男性がクマに襲われた。今年は県内のクマの目撃件数がすでに昨年1年間の合計を上回り、8月以降では前年比1・4倍に増加。市街地に出没した例もあり、県などが注意を呼びかけている。

 7日午前7時45分ごろ、鶴岡市白山の建設会社の敷地内で、トラックの積み荷作業中の従業員本間雄二さん(69)=同市湯温海=がクマに襲われたと110番通報があった。鶴岡署によると、本間さんは体長1メートルほどのクマに背後から左太ももをかまれ、さらに左側頭部をひっかかれたとみられ、3週間のけが。

 建設会社によると、当時は数人の従業員が事務所内にいた。「外から叫び声のような、助けを求めるような声がした」。気付いた2人がドアから外の様子をうかがうと、クマは本間さんに覆いかぶさっているような状態だった。女性従業員が外に出て近づこうとしたが、ちょうど出勤してきた従業員が「逃げろ」と叫んだという。

 本間さんから離れたクマはその後、道路に出て、竹やぶの中に消えたという。

 現場は同市立大泉小から南に約400メートルの住宅街で、付近の道路は通学路になっている。クマを目撃した交通指導員の男性(71)は「(周辺には田畑もあるが)こんなところに出るなんて、夢にも思わなかった。子どもたちの登校後だったから運が良かったかもしれない」と話した。

 鶴岡市は現地対策本部を設置。猟友会メンバーと鶴岡署員、市職員らが爆竹を鳴らしながら現場に近い湯尻川沿いを探索。パトカーなどが周辺を巡回しながら、住民らに戸締まりの徹底などを呼びかけた。

 現場に近い大泉小と鶴岡一中では、保護者の付き添いで一斉下校とするなどの対策をとった。8日朝の登校も保護者が付き添うことにしている。(佐藤孝則、西田理人)

 県によると、県内の今年のクマの目撃件数は、今月4日までに453件あり、昨年1年間の目撃件数をすでに超えた。8月以降では昨年より4割多い199件に上っている。

 地域別にみると、置賜地域の206件が最多で、庄内地域の136件が続く。置賜地域では高畠、川西、白鷹の3町を除く5市町で、庄内地域では鶴岡市と庄内町、遊佐町ですでに昨年を上回った。昨年16件だった小国町で40件に達した。一方、村山地域(77件)と最上地域(34件)はいまのところ、昨年の合計件数を下回る。

 人への被害は5月以降、長井、米沢、鶴岡の3市で計3件。新潟県では9月28日からの4日間に、山形県に近い4市町村で5人が襲われ、小国町と隣り合う関川村では女性が意識不明の重体となった。

 クマの目撃件数は、えさにするブナの実の豊凶と関連があるとされる。県環境科学研究センターの予測では、県内のブナは今年度、ほぼ全地点で2年連続の凶作。県みどり自然課の担当者は「冬眠前のクマはえさを求めて活動域が広がる傾向があり、人身被害は10月が最も多い。鈴を鳴らすなど人の存在を知らせることが大事だ」と話す。(上月英興)

関連ニュース