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 「防衛省は基地被害を甘んじて受ける覚悟を迫っているように見える」。西之表市の八板俊輔市長は7日、地元の馬毛島への米空母艦載機の陸上離着陸訓練(FCLP)移転計画について、「反対」を明らかにした。就任から3年半を経ての表明に、市民の受け止めは分かれた。

 市役所での40分の記者会見で、八板市長は緊張した面持ちで「馬毛島問題への所見」と題した文書を立ったまま読み上げた。

 馬毛島に設置される基地について「国は自衛隊施設と説明しているが、米軍訓練のための施設だ」と指摘。軍事上の標的となって地域住民の安全が脅かされる▽航空機騒音や漁業への影響が避けられない▽種子島にも訓練が拡大する可能性がある、などと弊害を列挙した。

 基地設置に伴う交付金については「被害と引き換えに初めて手にできる」とし、自衛隊誘致の経済効果は「限定的」と述べた。その上で「基地経済に頼った地域の発展は、一度踏み入れれば引き返せなくなる。失うもののほうが大きい」と、基地設置とFCLPに「不同意」を表明した。今後、防衛省に伝達するという。

 八板市長は2017年の市長選でFCLPに反対を訴えて初当選。就任後は「選挙時から自分の考えは変わっていない」と言う一方で、市長としての賛否の表明は保留。その理由を「訓練などの具体的な情報が示された上で、改めて判断したい」と説明してきた。

 8月、防衛省からFCLPの飛行経路や島でのおおよその施設配置が説明された。それに対する市の質問状に防衛省から9月末に回答が示されたことを受け、7日の会見が開かれた。

 市長の表明を「馬毛島への米軍施設に反対する市民・団体連絡会」の山内光典事務局長(69)は「訓練や基地のマイナス面を網羅的、理論的に指摘しており、評価したい」と歓迎した。一方、「馬毛島の自衛隊・FCLP訓練を支援する市民の会」の杉為昭事務局長(53)は「自衛隊誘致に代わる経済活性策を示さず、自分の思いを述べたような表明で遺憾」と受け止めた。来年3月の任期満了に伴う市長選で、容認・推進の候補を支援するという。

 馬毛島の問題について「地元の意見を聞き、県としての考えを整理する」としていた塩田康一知事は市の表明を受け、訓練で影響を受ける可能性があるとされる同市を含めた種子島の3市町、屋久島町、南大隅町の首長が集まる協議の場を月内に開きたい考えを示した。(奥村智司、小瀬康太郎)

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