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 埼玉県が建設を計画している国際規格の屋内50メートルプールをめぐって、川口市と上尾市が激しい誘致合戦を繰り広げている。関東で他県にはある屋内50メートルの公営プールが埼玉にはないといい、県内水泳関係者にとって建設は悲願だ。建設費は100億~300億円とされ、年間数億円の維持費もかかる大型施設になる。(堤恭太、長谷川陽子

 7日、奥ノ木信夫・川口市長ら一帯4市長が県庁を訪れ、大野元裕知事に、同市にある神根運動場へのプール誘致を要望した。

 同市では、県が災害公園用にと土地12ヘクタールを先行取得したが、計画が立ち消えになったため同運動場を整備した。奥ノ木市長は過去2回、市内のプールが国体の水泳会場になるなど水泳が盛んなことも挙げて「土地も提供できる。国際プールが建設されれば周辺の整備も進む」と訴えた。

 8月27日には、上尾市の畠山稔市長ら県央5市町が、同市の県営さいたま水上公園に建設することを求める要望書を知事へ渡している。県有地を利用できるうえ、公園周辺に陸上競技場などもあるため、国際プールを建設すればスポーツ施設の集積が図れる利点があるという。

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 県の計画だと、メインの施設は10レーンある50メートルプールで、底が可動式で深さを0~3メートルに調節できる。ウォーミングアップなどに使う25メートルのサブプール(10レーン)もつくる。

 観客席は約3千。飛び込み競技用プール、トレーニング用の流水プールも設ける。映像で泳法を解析するシステムや大型の映像装置などを導入し、最先端の技術を備えた施設を目指す。

 これとは別に「スポーツ科学拠点施設」も建設し、身体能力の測定室、トレーニング室などを設け、アスリートの競技力向上の支援拠点としたい考えだ。

 県内水泳関係者は、主要大会が誘致できて、天候に左右されずに練習できるプールの建設を熱望してきた。大野知事も公約に「国際規格の競泳プールの整備」を掲げた。

 候補地には上尾市、川口市、さいたま市の浦和美園地区があがっていて、県はこれまでに有識者会議を3回開き、検討してきた。県幹部は「年度内には建設場所を決め、動き出したい」と話す。

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 県外へ目を向けると、横浜市都筑区には1998年に完成した横浜国際プールがある。観客席数は約4千で、建設費は283億円。毎年、維持費などに4億円ほどかかっている。2002年にパンパシフィック選手権大会が開催された。

 千葉県習志野市の県国際総合水泳場は96年の完成。約3600の観客席があり、建設費は122億円。県が毎年5億円前後の維持費を負担する。07年に「世界競泳」が開かれた。しかし、どちらの施設もその後、競泳の大きな国際大会は開かれていない。

 水泳関係者や建設を要望する自治体は、新設されるプールでの国際大会開催も目指しているが、国際大会は人気があり世界的に誘致競争が激しい。国内に決まっても、東京都江東区で東京辰巳国際水泳場の隣接地に東京五輪用の東京アクアティクスセンターが新設されるなど、ライバルも多いのが現状だ。

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