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 福岡県柳川市の郷土料理店が空き家を改修した宿泊施設「夜明(よあけ)の宿」を今月から本格オープンさせた。新型コロナウイルスの影響でテレワークやワーケーションが進み、都会住民の地方移住機運が高まっていると見て、家族やグループにじっくりと「お試し移住」をしてもらうのが狙いだ。

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 「夜明の宿」は同市の沖端地区にある。経営するのは同地区で郷土料理店「夜明茶屋」を経営する「株式会社やまひら」(金子英典社長)。沖端は市内最大の観光スポットでありながら、近年は空き店舗や空き家が増え、景観の悪化などが問題になっている。そこで沖端商店会の会長も務める金子社長は、空き家を宿泊施設として利用すれば、地区の活性化にもなり、市が目標にしている宿泊客の増加にもつながるのではないかと考えたという。

 開業準備中に全国的に新型コロナの感染が拡大。一時は延期も検討した。

 だが、かえってコロナ禍でテレワークなどが普及したことで、会社勤めの人も地方に住みやすくなり、家族で移住体験のできる宿泊施設にすれば需要があると判断した。

 築65年の2階建ての空き家を購入し、リフォーム。間取りは1階が8畳のリビングと10畳のダイニングキッチンに洗面所、シャワー室、トイレ。2階が8畳と主寝室(洋室)と6畳の和室が2間。内装の改修にはこだわり、フローリングや建具は大分県の日田杉をふんだんに使い、畳は大木町の無染色のイグサを使用。テーブルや椅子、ベッドなどは大川市の家具店から無垢(むく)材を使った高級品を無償提供してもらった。

 家族や会社単位で使いやすいよう、宿泊料は1人目が1万2800円(税込み)で、2人目以降は1人5800円に設定。完全貸し切り制で定員は10人。ひとりの長期利用も可能だ。

 食事は近隣を散歩しながら気に入った店でとってほしいと、あえて料金に含めなかった。IHコンロや冷蔵庫、電子レンジも完備し、宿泊客が地元の食材を買って調理もできる。7月から試験的に3組に利用してもらったところ、「じっくり柳川を楽しめた」と好評だったという。

 「柳川への移住を検討していただけるなら、昼間の数時間だけでなく、朝や夜の柳川の姿も見ていただきたい。夜明の宿は移住体験にうってつけです」と金子社長。5年以内に同様の宿泊施設を5軒オープンするのが目標だという。

 佐賀市から観光で柳川を訪れ、たまたま「夜明の宿」を見つけて見学していた女性(66)は「とても清潔感があり、斬新な内装。ロケーションも山の中と違い、観光スポットの中にあるので、疎外感を感じず、でもゆったり静かに過ごせそう」と話していた。問い合わせは夜明茶屋(0944・72・6256)。(森川愛彦)

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