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 今年のノーベル化学賞は、ゲノム編集技術を開発した2人の女性に決まった。生命の情報を自由に書き換える画期的な技術で、「現代の生命科学における三大発明の一つ」と分子生物学者の福岡伸一さんはいう。だが、この技術を使うには倫理面や安全性の検討が欠かせない。福岡さんに解説してもらった。

 〈ふくおか・しんいち〉 青山学院大教授、米ロックフェラー大客員研究者。専門は分子生物学。1959年生まれ。京都大農学部卒。京都大助教授などを経て現職。著書に「生物と無生物のあいだ」「動的平衡」など。

 科学史を振り返ってみると、「三大発明」というものがありました。ルネサンス期の活版印刷、火薬、羅針盤で、世界に革命をもたらしました。では、現代の生命科学における三大発明は何か。私が考えるには、一つは新型コロナウイルスの検査で活躍しているPCR法。二つ目は画期的ながん免疫治療薬「オプジーボ」に代表される「モノクローナル抗体」。もう一つが今回の受賞対象になった「ゲノム編集」です。

 7日にスウェーデン王立科学アカデミーのヨラン・ハンソン事務局長が、ノーベル化学賞の受賞者の名前を発表する前に「リライティング・ザ・コード・オブ・ライフ」と紹介しました。それを聞いた瞬間、私は「これはゲノム編集だな」と思いました。受賞が決まったエマニュエル・シャルパンティエ氏とジェニファー・ダウドナ氏の2人の女性科学者は前評判が高く、今年でなくてもいつか必ず受賞するのは間違いなかったので、非常に順当な結果でした。

 生命科学は1953年のDNAの二重らせん構造の発見に端を発しています。その意義は生命が情報であるということでした。DNAは「塩基」という化学物質の連鎖です。これが生命の設計図になっています。

影になった人たちの貢献も

 この設計図の任意の1カ所を自由自在に書き換える画期的な方法がゲノム編集技術です。ただし、これは全てのノーベル賞に言えることですが、2人の業績は素晴らしいものの、山の頂上に達するまでの非常に広い科学の裾野があることも忘れてはいけません。

 ゲノム編集の最初のきっかけを…

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