豊橋のオペラ歌手、ホールでオンライン公演挑戦 愛知
愛知県豊橋市在住のテノール歌手の岡田尚之さん(42)が、新型コロナをきっかけに動画配信サービスによるコンサートを続けている。17日には同市の「穂の国とよはし芸術劇場PLAT」のホールから生配信する。「コロナに負けない」という思いを込め、視聴者との双方向性を強める工夫もしてきたという。
岡田さんは東京都出身で、東京芸大大学院を修了後、イタリアやドイツに留学した。2011年のNHKドラマ「蝶々さん」(宮﨑あおいさん主演)で、劇中劇のピンカートン役を務めたこともある。
結婚を機に4年前から豊橋を拠点にし、国内で月1回ほどのペースでコンサートに出演。海外公演も毎年のようにあり、昨年はドイツとイタリア、カザフスタンで歌声を披露した。
だが今年3月ごろから新型コロナの影響で公演が次々と中止に。6月のドイツでの出演も取りやめになった。「音楽家と愛好家に非常に厳しい状況を打破できないか」と、動画配信サービス「ツイキャス」を使ったコンサートを企画した。
最初の6月27日は「コロナには負けない」とのタイトルで、遠くの恋人に会えない心境を表現したデ・クルティス「泣かないお前」など、会いたい人に会えない人たちを元気づけられる選曲にした。トリノ五輪(06年)の女子フィギュアスケートで金メダルを獲得した荒川静香さんが使ったことで知られるプッチーニ「トゥーランドット」の「誰も寝てはならぬ」も盛り込んだ。
12年前にプロのオペラ歌手になってから、公の場で日本語の歌を歌っていなかったが、妻かをりさん(45)と相談し、中島みゆきさんの「時代」で締めくくった。「コロナに負けず、『そんな時代もあったねと、いつか話せる日がくる』との思いを多くの人に届けたい」という自分なりの挑戦だったという。
2回目(7月25日)と3回目(9月19日)では「オンラインならではの工夫をしよう」と、岡田さんが生出演して曲を解説する時間を設け、視聴者にチャットで感想を書き込んでもらった。「同じ時間を共有している仕掛けをし、双方向のやりとりができるのがオンラインコンサートの良さ」と岡田さんはいう。視聴者のリクエストに応じ、ミュージカル「マイ・フェア・レディ」の「君住む街角」を歌ったこともある。
これまでは名古屋市内の50席弱のスタジオであらかじめ曲を収録していた。4回目の10月17日午後7時半からは、PLATの778席あるホールから生配信する。イタリアを中心に、ドイツやロシア語などで13曲を予定している。この日は無観客だが、「いずれは観客を入れながら、同時に配信もすることになるかもしれない」。コロナが終息した後も残せる、新たな形を見据えている。
オンラインコンサートは2300円。岡田さんの公式ホームページ(http://naoyukiokadatenor.com/)に貼られているツイキャスのリンクから購入できる。(小山裕一)
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