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 山口県山陽小野田市津布田(つぶた)のごく普通の住宅街に、こつぜんとそびえる巨大な植物がある。見ればたわわに実ったバナナ。主婦の飯田智子さん(81)が趣味の家庭菜園で育てた。今年初めて実を付けた。

 自宅前に広がる畑に実っていたのは「アイスクリームバナナ」。15~20本ある房がいくつも連なる。2016年12月に植えた約1メートルの苗木が成長し、子株が次々に増えた。2カ月に一度は化成肥料と牛ふんをまき、今では高さ3メートル、太さ70センチほどの株が約20。うち4株に実がなった。

 苦労したのは越冬対策。幹の周りにパイプを組み立て、四辺にガラス戸、上からビニールをかぶせて冬でも温度が下がらないようにした。

 今年6月に初めて花が咲いたが、直後に日照りが続いて枯れてしまった。7月に別の株で花が咲いて以降は、朝晩欠かさずバケツ3杯分の水を与え続けた。

 「緑色の実がなった時はうれしくて。人が来る度に、ちょっとこっち来て、といって見せたよ」

 このほか、モンキーバナナや島バナナなど3種類のバナナを育てる。赤い実がなるアケビバナナはその名の通り、実にアケビのようなタネが含まれるのが特徴。自宅付近に約10株育てている。

 バナナの苗木を扱う園芸店「ガーデンマルシェ下関」(下関市)によると、アイスクリームバナナは寒さに強い品種だが、気温が零下5度を下回ると弱ってしまうという。JA山口県営農指導部の担当者は「バナナは熱帯・亜熱帯の果実。山口の気候条件の下、露地栽培で育つのは珍しい」と話している。

 変わった野菜や植物を見るとつい買って、栽培してみたくなるという飯田さん。畑には黄玉スイカや食用のほおずき、アップルゴーヤなど珍しい野菜がずらり。ほとんど1人で世話している。栽培方法は独学。試行錯誤しながら育て、実が付いたときのうれしさは代えがたい生きがいだ。「娘には『もうやめりんね』って言われるけど、できる限りはやりたい」

 アイスクリームバナナは先月27日、1株分を収穫した。重さは約10キロあった。車庫につるし、2週間ほどで実が熟すのを待つ。「どんな味か楽しみ」(寺島笑花)

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