構成・高津祐典
料理家の辰巳芳子さん(95)は、日本の食文化を豊かにするために提言を続けてきた。戦前から「日本の食料がいかに弱いかというのをずっと体験してきた。骨身にしみて知っているんだ」という辰巳さんが、現代の食の危うさを語った。
――戦争のあとから比べると、食卓は豊かになりました。私たちは今、何を食べたらいいでしょうか。
そうね、自分も食べ物も、自然の一環であるというのを忘れてはいけない。自然とかけ離れて食べれば、体の養いにはならないのよ。
自然の中にいて、季節ごとにできるものをみれば、何を食べればいいかは、自然に分かってしまう。それを食べるよりほかないんだから。
そして、地球の在り方とあわせて食べていくこと。地球を宇宙の中にすえて考えていかないと、私たちは食べ損なっちゃうと思う。
――宇宙との関係というのは、具体的にはどういうことですか。
太陽とか水、空気とか。そういうね、とっても原点的なことを謙虚に考えて生きなければならないと思うんだ。それを汚さないように。一番汚して、取り返しがつかないのは原子力だろうね。そういうもので根本的なところをいじめないようにしないといけないと思います。
記事後半では、辰巳さんは「この国は本当に持たざる国」と考える理由を語っています。煮干しやシイタケの料理法に触れながら、若者への助言もしています。
――辰巳さんは社会意識がとても高い料理家だと感じます。
私は社会意識が強くて、並の強さじゃないと思う。それは多くの若者が国のために死んだからです。
あの若者たちの死を無駄なもの…
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朝日新聞社会部