拡大する写真・図版そこが気になるアメリカ大統領選

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 11月3日のアメリカ大統領選挙まで1カ月を切りました。4年前の選挙で、当初は泡沫(ほうまつ)候補だったトランプ氏の当選に一役買ったと取り沙汰され、今回も注目されるのが「隠れトランプ支持者」の動向です。隠れトランプ支持者とは、表向きは支持を明言しないものの、実はトランプ氏を応援している人たちのことです。アメリカ人と言えば、もともと政治的な会話にオープンなイメージがありますが、なぜトランプ氏への支持は隠したいのか――。アジア人とアメリカ人の心理や行動の違いを研究する北海道大学の結城雅樹教授(社会心理学)に分析してもらうと、明るくポジティブといわれるアメリカの人たちに特有の葛藤が見えてきました。

 ――4年前に「隠れトランプ支持者」という言葉が新しく出てきました。どう思いましたか。

 「そんな人がいるのか」と驚きました。当時は、表向きはリベラルを標榜(ひょうぼう)している人たちがこっそりトランプ氏に投票したということではなく、もともと保守的な人たちが世論調査から漏れてしまったのだろう、つまりサンプリングが失敗したのだろうと思っていました。

 ――今はどう考えていますか。

 「隠れ」た現象なので実際に確かめるのは難しいかもしれませんが、現地の報道などを見ると、意外にも白人の中間層や上流階級の人たちの一部にそのような人がいるのではないかと考えるようになりました。

 ――何が起きているのでしょう。

 次のような構図が想定されます。

拡大する写真・図版トランプ大統領の選挙集会で、コロナ禍の中でも密集して並ぶ支持者たち=2020年9月10日、ミシガン州フリーランド、ランハム裕子撮影

 東海岸や西海岸の大都市などリベラルな地域に住む白人の中間層や資産階級の間には、「知性や理性を守り、平等主義的な道徳を守る」という建前がありますが、トランプ氏の言動は完全にこれに反しています。ですから、もしトランプ氏への支持を公言すれば、厳しい社会的制裁に遭う恐れがあります。特に国際的な企業や学術界は人種差別問題には注意深いですから、下手をすれば解雇されてしまうかもしれません。ですから、それはできません。

 一方で、人種差別に反対する「ブラック・ライブズ・マター(BLM)運動」をめぐってトランプ氏が繰り返す社会秩序への不安や、ポリティカル・コレクトネス(政治的正しさ)を過度に追求するリベラル派への反発、さらにオバマ政権が進めた医療保険制度改革(オバマケア)の撤廃や移民への敵視発言などのように資産階級や白人に迎合的といえる政策姿勢から、感情や自己利益の部分ではトランプ氏を支持したいと考える人も、きっと少なくありません。そこで、理性と感情の間で揺れた結果、匿名の投票ではトランプ氏の名前を選んでしまうと考えられます。

 ――でも、アメリカ人はオープンに自分の支持政党を話したり、友人と政治的な会話を好んでしたりするというイメージがあります。

 「オープン=正直」かという問題を横に置けば、自分の立場を明確に語るということは間違いありません。子供の頃から「賛成か反対かはっきり言いなさい」と常に教えられ、学校ではディベートをさせられるので、自分の考えを述べたり議論したりすることには慣れています。

 しかし、そんなアメリカ人にも本音と建前があります。

 ――アメリカ人と「本音と建前…

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