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 「もう食べられないと思うと悲しい」――。街中からラーメン店の看板が消えている。民間信用調査会社帝国データバンクが8日、9月までに倒産が全国で30件を超え、過去20年で最多を更新する可能性がある、と明らかにした。相次ぐ倒産の背後には、新型コロナウイルスのほかにも「1千円の壁」という消費者心理も影響しているようだ。

 今年3月末、福岡市のラーメン激戦区として知られる長浜地区の豚骨ラーメン店「長浜将軍」が45年の歴史に幕を閉じた。

 「福岡の友達にどこのとんこつがおいしいのか聞いて連れて行ってもらった。おいしくて感動したんだよな」「激辛辛子高菜が美味かったんだよなぁ~」

 ツイッター上では、惜しむ声が相次いだ。

 長浜将軍は県内4カ所でとんこつラーメン店を構えながら、ネットでも生ラーメンや「博多一口餃子」を販売。しかし、帝国データバンク福岡支店によると、同業他社との競争で集客が減り、2002年8月期で約3億6千万円だった売上高が、19年8月期は約2億1900万円に落ち込んだ。さらに新型コロナの感染拡大が追い打ちをかけ、インバウンドの観光客らが減った結果、売り上げが急減したという。負債総額は同社と関連会社の2社で計約2億1500万円に及んだ。

コロナが「だめ押し」 生き残るために必要なものは

 「今年中に倒産が50件に達してもおかしくない」

 帝国データバンク情報統括課の飯島大介さんはそう危惧する。同社によると、今年1~9月のラーメン店を経営する会社の倒産件数は34件で、すでに過去最多だった昨年の36件に並ぶ勢いだという。法的整理をしていないものも含めれば実態は更に多い可能性もある。

 倒産理由で多くを占めたのが「競合店との競争激化」。ラーメン店は設備投資に必要な資金が低いことから参入しやすい。経産省などの調査によると、2016年時点で全国のラーメン店は約1万8千店あり、4年前から約1千店増えていた。

 飯島さんは、「薄利多売でやってきた店が多く、新型コロナウイルスの影響で外出が減りインバウンドも消え、だめ押しとなった」とみる。

 「1千円の壁」も影響していると飯島さんは分析する。消費者がラーメンに抱く「気軽に食べられてなんぼ」「1千円以上は払いたくない」といった心理に合わせ、店側はブランド化して値段を上げる戦略を取りにくい。高騰する人件費や原材料費が経営を圧迫してしまうという。

 今後、ラーメン店が生き残るために必要なものとは。飯島さんは「つけ麺、鮮魚系などの一時的な流行に左右されずに市場調査をした上で、価格設定を見直していく時期にきているのではないか」と話す。(池上桃子、藤山圭)

コロナ第2波 東京100days
緊急事態宣言が解除されたのもつかの間、東京は新型コロナウイルス感染拡大の「第2波」に直面する。政治や財界、そして人々はどう動いたのか。100日間のドキュメントで迫る。
【動画】プレミアムA 東京100daysコロナ第2波ドキュメント=西田堅一、藤原伸雄撮影