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 山国で育ち、22歳で初めて見た感動から「海」を繰り返し主題にした――というフランス人画家、クールベ(1819~77)の企画展が甲府市の山梨県立美術館で開かれている。「海なし県」山梨に似た環境で育った親近感からか、ちょっとした話題になっている。

 スイスとの国境に近く、山に囲まれた仏フランシュ=コンテ地方で生まれた。友人と訪れた仏ノルマンディー地方で初めて見た海について、両親あてに書いた手紙が残されている。

 「私たちはついに海を、地平線のない海を見ました。(これは谷の住人にとって奇妙なものです)」

 当時、聖書の「ノアの大洪水」や船が難破したイメージから、海は畏怖(いふ)の対象として描かれることが多かった。同館が代表作を所蔵するミレーと同時代に活躍したクールベは、海を忠実に描き、波などの現象を表現した。ほとんど海と空だけの作品が多く、一瞬の表情をとらえている。

 今回の企画展には、海などのクールベ作品約30点のほか、他の画家が海などを描いた作品が並ぶ。11月3日まで。

 県立美術館は県立科学館と共同で、「波」をテーマにした実験動画をユーチューブで公開予定だ。「ウェーブ発生装置」を使い、水の動きを観察し、波の仕組みを解説する。

 クールベの作品「波」について、実験を担当した県立科学館の市川大睦(ひろむ)さんは「とてもリアル。海への強い憧れを感じた」と話す。

 注目したのが波の動きだという。複雑で不規則な波の動きを、クールベの作品は「細かく捉えている」という。

 障害物を置くと水はどう跳ね返るのか、そもそもなぜ波は起きるのか。動画で紹介する実験では、波の動きや波を起こす要因の風について知ることができる。市川さんは「科学と美術作品の両方の視点から、子どもたちが海に興味をもつきっかけにしたい」と期待していた。(市川由佳子)