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 認知症の当事者が前向きに生きる姿を発信する国の「希望大使(認知症本人大使)」に、長野県上田市の春原(すのはら)治子さん(76)が選ばれ、若い世代に「偏見を持たないで」と呼びかけている。厚生労働省が今年1月に初めて全国で5人を任命したうちの1人だ。

 元小学校教員の春原さんは定年後、認知症のサポーター養成講座を受講し、長年ボランティア活動を続けてきた。3年前から物忘れを自覚するようになり、2018年には自らが認知症と診断された。

 二つ以上の予定を覚えることが難しいが、病気を隠さず、積極的に外に出ることを心がけた。地元の認知症の交流サロンの運営に携わるほか、県内外で自らの体験を講演して伝えている。

 10月5日には上田千曲高校(上田市)で福祉を学ぶ2年生の授業に講師として招かれた。春原さんは「認知症になっても終わりではない。自分らしく、できることを一生懸命にやっていく」。付き添いの介助を受けながら約1時間、「先入観で考えず、当事者の本当の気持ちに寄り添ってほしい」と呼びかけた。

 授業を聞いた男子生徒は「怖い病気だと思っていたが、支え合えば楽しく過ごせることが分かった」。春原さんは「若い人たちに知ってもらうことは大切。地域全体で理解を広げ、偏見をなくしたい」と話す。(滝沢隆史)