県外ナンバー、ふと感じた不快感 福島を伏せさせた私が

有料会員記事新型コロナウイルス

福地慶太郎、力丸祥子 根岸拓朗 上地一姫、渡辺洋介
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 せきが出始めたが、熱はなかった。ただの風邪だと思っていた。

 福島県郡山市の30代女性は春、新型コロナウイルスの検査で陽性と判定された。「職場と保育園とスーパーしか行かない私が……」。介護の仕事をしていて、マスクや消毒にも気をつけていた。職場全体が2週間、休業した。

 女性は1週間ほどで退院した。以前と同じ生活が戻る。そう思ったが、スマートフォンに届いた同僚の言葉が、心に突き刺さった。

 「体調不良のときは早めに言ってくださいね。みんな迷惑しますから」

写真・図版
新型コロナウイルスに感染した女性。スマートフォンに同僚の言葉が届いたのは退院の手続きをしている最中だった=2020年8月26日午後、福島県内、小玉重隆撮影

 職場で感染したのは女性だけだ。〈どこかで遊んでたんじゃないの〉。そう責められている気がした。

 飲み歩いたり、都会の繁華街に出かけたりして、きちんと「自粛」しない人がかかる――。女性自身もそう考えていたが、誰でも感染しうることを思い知らされた。その現実が理解されず、休業のストレスや感染への不安をぶつけられたように感じた。

 未知の感染症への恐れは世界中で膨れあがっている。不安は、他者を排除して傷つける言葉に姿を変える。「夜の街」や「東京問題」のように特定の集団や地域が名指しされ、本来は対立する必要のない人々の間で溝が深まっていく。

 女性の記憶には、いまと重なる光景と言葉がある。東日本大震災東京電力福島第一原発事故から、2年ほど過ぎたころだ。

 首都圏のある広場。複数の地…

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