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 新型コロナウイルスに感染して入院したトランプ米大統領が早くも、11月3日の大統領選に向けた活動を再開させる。演説や選挙集会を通じて「完全復活」を誇示する狙いがあるが、検査で陰性になっているかは明らかにしておらず、感染がさらに拡大する懸念も出ている。

 「現在、私は薬を飲んでいない。おそらく、8時間ほど前から投薬治療を受けていない」

 9日夜、FOXニュースのインタビューに応じたトランプ氏はこう語り、新型コロナの治療を終えたと強調した。10日には、ホワイトハウスに聴衆を集め、「法と秩序」をテーマに演説し、選挙活動を本格的に再開する予定だ。12日にはフロリダ州オーランド近郊で選挙集会も開く。

 新型コロナに感染して2日から入院していたトランプ氏は、5日に退院した。主治医は8日、「処方された治療を完了した」との書簡を公表したが、検査で陰性になったかは明らかにしていない。周囲の感染拡大も続いており、米メディアによると、政権や陣営内からも選挙活動の再開には懸念の声が出たものの、トランプ氏本人が無視し、開催を急いだという。

 10月に入ってから公表された複数の世論調査で、トランプ氏は民主党のバイデン前副大統領に10ポイント超の差をつけられており、劣勢が顕著になっている。前のめりな姿勢からは、何とかして挽回(ばんかい)しようという意向が見える。

 しかし、世論調査で支持率に差がついているのは、トランプ氏自身の行動も原因の一つだ。9月29日にあった大統領候補討論会ではバイデン氏の発言中に何度も口を挟み、討論会自体が大荒れとなった。さらに、自身や周囲が新型コロナに感染したことで政権の危機管理の甘さを露呈。新型コロナから目をそらそうと対策を軽んじたことが裏目となり、かえって注目を集める結果となった。

 特に批判を受けているのは、9月26日にホワイトハウスで行った、エイミー・バレット氏を最高裁判事に指名した会見だ。これまでに、出席者のうちトランプ氏を含めて12人の感染が判明。当日は出席者が十分な距離をとらず、マスクをつけずに握手や抱擁を交わしていた。会見は屋外だったが、関係者がホワイトハウス内でもマスクを着けずに談笑する写真が公表されている。米国立アレルギー感染症研究所のファウチ所長は10月9日にCBSラジオで「ホワイトハウスで大量感染のイベントがあった。データは自明だ」と指摘した。

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「私のように、すぐ良くなる」

 トランプ氏は今後も方針を変えそうにない。9日に出演したラジオ番組では「(感染した人は)私のように、すぐに良くなる。私は2週間前よりも、気分がいい」と発言。米メディアによると、10日のイベントは2千人以上を招待しており、ホワイトハウスの南庭に聴衆を集め、トランプ氏がバルコニーから演説する予定という。

 投票日の11月3日まで3週間あまりとなり、残された時間も少ない。15日には2回目の大統領候補討論会が予定されていたが、対面式の討論会にこだわったトランプ氏が、主催団体が提案した「バーチャル方式」を拒否したこともあり、9日には中止が決まり、挽回の機会が一つ失われた。最後の討論会は22日に開かれる予定だが、トランプ氏としては集会などを通じて有権者にアピールしていくしかない。

 だが、集会などを通じてさらなる感染が起きた場合、批判を受けるのは必至だ。バイデン氏は9日、ネバダ州での演説でトランプ氏の行動を「無謀だ」と主張し、「自分や他人を守るために必要な予防措置をとらなかった」と述べた。(ワシントン=渡辺丘、香取啓介)

「駆け込み承認」にも影響

 ワシントンでは12日、バレット氏の承認に向けた公聴会も上院で始まる予定で、大きな注目を集める。

 9月26日にホワイトハウスで…

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