[PR]

 西日本豪雨で大きな被害を受けた愛媛県西予市野村町のシンボル「乙亥(おとい)会館」に12日、被害や復興の様子を伝える「災害伝承展示室」がオープンした。町内では、訪れた人たちに災害の様子を教える「語り部」の養成も進めており、市や住民が一体となって大災害の経験を後世に伝える取り組みが始まっている。

 2018年7月の西日本豪雨では、上流の野村ダムが緊急放流した後に野村町中心部を流れる肱川が氾濫(はんらん)。多くの住宅や店舗が水につかり、町内で5人が亡くなる大きな被害が出た。

 地元伝統の「乙亥大相撲」の会場として親しまれていた乙亥会館も1階部分が完全に水没し、温泉施設が廃止になるなどした。会館自体は今年春に復旧したが、災害伝承展示室は新型コロナウイルスの影響もあって、開設が遅れていた。

 この日オープンした災害伝承展示室は、広さ約60平方メートル。室内を四つの区画に分け、西予市の地形や災害の歴史、西日本豪雨被害の概要、復興事業の進み具合などをパネルや写真を使って紹介している。市民から提供された西日本豪雨時の被災映像を見たり、肱川の氾濫によって町が浸水していく様子を仮想現実(VR)の画像で体感したりすることもできる。

 野村町では、災害の記憶を伝える「語り部」の養成も始まっている。現時点で10~80代の8人が登録。防災学習などの際に、ガイド役として参加者たちと乙亥会館や野村町内などを巡る3コースを歩き、浸水時の様子や復興に向けた取り組みを案内する。

 語り部の代表の古賀テル子さん(76)は「災害伝承展示室ができたので、少しでも役に立ちたいと思い、引き受けた。自分たちも防災・減災のことを学びながら、災害の記憶を伝えていきたい」と話している。

 災害伝承展示室は入場無料。年末年始(12月29日~1月3日)を除いて年中無休で、午前8時45分~午後5時(入館は4時)まで。問い合わせは乙亥会館(0894・72・1006)。(藤家秀一)

関連ニュース