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 1982年に開場し、スピードスケートの競技大会も開かれてきた山梨県立八ケ岳スケートセンター(北杜市小淵沢町)を今冬限りで廃止する方針を、長崎幸太郎知事が表明した。利用者が減り、設備も老朽化しているためだが、地元や競技団体からは存続を求める声が上がる。12日には北杜市の渡辺英子市長が存続を求める要望書と1万2244人分の署名を知事に提出した。

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 渡辺市長は市スポーツ協会や競技指導者らとともに県庁を訪れた。知事に手渡した要望書は、高校や小中学の選手がセンターを拠点に活動していることや、学校の授業や部活動でも使われていることを挙げ、「子どもたちの競技力向上や競技人口の底辺拡大のために必要不可欠な施設で、教育施設でもある」としている。

 渡辺市長は「スケート文化の灯を消してはいけない。子どもたちや全体のスポーツ振興を考えると、費用対効果だけで廃止はいかがなものか」と報道陣に語った。

 センターは、2011年度に行われた「県版事業仕分け」でアドバイザーから「費用対効果が悪い」「利用者が少ない」と指摘された。県は地元自治体や競技団体と協議し、利用者増を条件に当面の存続を決定。16年度には目標を上回り、新目標を設定して22年度までの存続を決めていた。

 だが、18、19年度は目標に届かなかった。長崎知事は9月29日の県議会で「今後も非常に厳しい。来年度以降の運営のためには機器の更新や修繕に1億円以上を要する」と述べ、「従来通りのスキーム(枠組み)では存続させることは適当ではない。今後廃止に向けた事務処理を進める」と表明。ただし来月始まる今シーズンは「必要最小限の修繕を施して運営する」と説明した。

 一方、県議会総務委員会では「スケートは子どもの頃から親しむ山梨の唯一のウィンタースポーツ。次世代の子どものためにも力を入れる必要がある」と存続を求める意見も出た。

 県スポーツ振興課によると、19年度の利用者数は1万3812人で、前年度から約2900人減り、目標の1万9805人にも届かなかった。利用料収入も540万2240円で目標値の815万7805円を下回った。

 この数年は暖冬が続いたため、営業開始が数日遅れたり、氷が解けて滑走不能となる時間帯があったりした。今季は約2千万円をかけて冷凍装置などを修理して運営するという。

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 〈県立八ケ岳スケートセンター〉 1982年、八ケ岳山麓(さんろく)の標高約1千メートルに開設された。山梨県内に二つある屋外スケートリンクの一つで例年11月下旬~2月上旬に営業している。スピードスケート用の400メートルのトラックを備え、一般の利用客のほか、地元のスポーツ少年団や中高生が練習の場として利用してきた。

 県や北杜市によると、かつては国民体育大会の予選や関西学生氷上選手権も開催された。しかし、選手がレース前の準備や調整で滑る「ウォーミングアップレーン」が内側にないため、今は大きな大会は開けないという。それでも、60回以上を数える地元小中学生の峡北スケート大会や親子教室が開かれる。隣県の長野県富士見町や原村の子どもたちも利用している。(田中正一)