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 東京電力福島第一原発事故をめぐり、福島県内の住民や避難者ら約3700人が国と東電に損害賠償などを求めた訴訟で、双方の責任を認め約10億1千万円の支払いを命じた仙台高裁判決を不服として国は13日、最高裁に上告受理を申し立てた。東電も上告した。一方、それを受けて原告も同日上告したと明らかにした。

 原発避難者らが国を相手取った集団訴訟で、初の二審判決だった。申し立ての理由について国は、判決が地震予測の「長期評価」の信頼性を認めた点などを誤りとし、地裁判決が出た14件のうち7件は国の責任を否定していることも踏まえたと説明。東電は「判決内容を精査し、総合的に判断した」としている。

 仙台高裁判決は、国の機関が2002年に公表した長期評価について「客観的かつ合理的根拠を有する科学的知見」と判断。国と東電は長期評価をもとに試算すれば同年末には10メートルを超える津波を予見でき、対策を講じて事故を回避できた可能性も認めた。

 そのうえで、国が東電に対策を命じる「規制権限」を行使しなかったことは「著しく合理性を欠き、違法だ」と指摘。国策として原発を推進してきた経緯も踏まえ、東電と同程度の責任があると判断した。

 政府関係者によると、これに対し国は、当時の法令では規制権限はなかったと主張。津波の予見に加え、事故回避の可能性についても、原告が主張する対策に対し的確な立証をしていないとして「推認される」と認めた点に反論するとみられる。

 長期評価をめぐっては、一審・福島地裁判決も信頼性を認める一方、今月9日の東京地裁判決は「十分に成熟した科学的知見ではない」と否定するなど見解が分かれている。

 原告側は「国と東電に上告しないよう申し入れてきたが、受け入れられず遺憾」としたうえ、「高裁判決は一審より前進したが、全ての原告に十分な水準の賠償が認められたわけではない」と上告の理由を説明した。