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 シルクロードなどを舞台にした日本画家の平山郁夫(1930~2009)の作品を和紙のちぎり絵で模写した作品展が、平山郁夫美術館(尾道市瀬戸田町)のロビーで12日から始まった。ちぎり絵の紹介を通して日中の文化交流に取り組んできた広島市のNPO法人「虹橋の会」に美術館が開催を持ちかけ実現した。世界遺産を描いた力作を含め計33点が並ぶ。

 平山画伯の出世作「仏教伝来」と代表作「求法(ぐほう)高僧東帰図」は、岩井梅子さん(74)=広島市西区=が模写を手がけた。中国残留孤児だった岩井さんは50歳のときに帰国。和紙ちぎり絵の色合いの美しさに魅了され、講師になって教室を開いたのが「虹橋の会」の始まりだ。日中の架け橋にと、2002年から中国に広める活動を始め、これまで中国の14都市、30カ所で交流してきた。

 その活動を知った美術館の専務理事、根葉正文さん(70)が、昨年秋に虹橋の会が広島市で作品展を開いた際に声をかけた。平山は日中友好協会会長として両国の関係改善にも心血を注いだ。「同じような取り組みをしてきた団体なら思いを共有できる」と考えた。

 虹橋の会の理事長を務める岩井さんは「ありがたい申し出だった。作品の模写をすることで平和を願い世界遺産の保護を訴え続けた平山さんの思いに近づきたかった」と話す。

 一緒に活動してきた友近純子さん(82)=広島市安佐北区=は「興福寺の月」「富士山」の模写作品とともに、世界遺産・原爆ドームと灯籠(とうろう)流しを描いた自作「ヒロシマ忘れじ」を出品した。75年前、原爆で焦土と化した広島の街の惨状は目に焼きついている。「平山さんも被爆体験があり、平和への祈りを込めて作品を描き続けた。ぜひ見に来てほしい」と話した。

 庄原市や広島市、岡山県内のちぎり絵サークルの仲間も岩井さんらの思いに共鳴。作品を出品している。

 「和紙ちぎり絵で平山郁夫作品模写・世界遺産を描く」展は11月8日まで。ロビーに飾られたちぎり絵作品の観覧だけなら入館料は不要。問い合わせは同美術館(0845・27・3800)へ。(北村哲朗)

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