思い出の部屋に小さなお墓 コロナ禍で広がる新しい供養

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山中由睦
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 自宅用の小さな「墓石」が、都市部の高齢者を中心に売れている。単身世帯核家族の増加などを背景に、墓の維持・管理ができずに墓じまいする人が増えた上に、コロナ禍で葬式や墓参りを敬遠する動きも影響している。日常生活の中で、大きな負担なく身近に故人をしのぶ。そんな新しい供養が広がっている。(山中由睦)

 日当たりの良い2階の一室。机の上に、小さな四角い石(高さ約14センチ、幅約12センチ、奥行き約12センチ)が置かれていた。表面には「感謝」の文字が彫られている。石には直径6センチ、高さ7・5センチの骨つぼが入る穴が開き、線香立ても付いている。滋賀県豊郷(とよさと)町の浦部石材工業が、自宅用の「墓石」として販売している「たくぼ(宅墓)」だ。

 名古屋市西区のアルバイト後藤昇さん(68)、香代子さん(69)夫妻は3年前に購入した。昇さんは「思い出が詰まった部屋。どっちかが亡くなった後は、ここで『たくぼ』を見ながら故人をしのびます」。

コロナ禍で墓参りに変化が…

 5年前に胃がんになり、「余命1年」と宣告された。故郷の岐阜県東部に先祖代々の墓があるが、車で1時間半かかる。香代子さんや40代の息子2人の負担を考えると、墓には入らず「墓じまい」を決めた。

 その頃、新聞記事で「たくぼ…

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