篠原大輔
拡大する天理大付属天理参考館・天理図書館の創立90周年特別展で初公開される「瀬戸内海西海航路図屛風」の左隻=天理大提供
60年以上も行方がわからなくなっていた「瀬戸内海西海(さいかい)航路図屛風(びょうぶ)」(江戸時代初期)が見つかった。実は天理大学付属天理図書館(奈良県天理市)がそれと知らずに1954(昭和29)年に購入し、図書館で眠り続けていたが、2018年から始まった大学側の調査で「再発見」された。
拡大する天理大付属天理参考館・天理図書館の創立90周年特別展で初公開される「瀬戸内海西海航路図屛風」の右隻=天理大提供
天理大学付属博物館の天理参考館と天理図書館によると、屛風は全長約6メートルの六曲一双の金碧(こんぺき)屛風。大阪から長崎までの航路が緑色の線で描かれ、当時の国名20カ所、城名30カ所、集落・地名789カ所など計1478カ所が文字で示されている。江戸時代の地理を知る貴重な研究資料だ。
鳴門の渦潮や厳島神社の鳥居、長崎に向かう南蛮船も描くほど手の込んだつくりだ。参勤交代の際に用いられたとの説もある。
屛風は元々は個人蔵だった。1921(大正10)年ごろ、京都帝室博物館(現・京都国立博物館、京博)が模写本をつくり、原本はこの個人に返したが、昭和初めごろに他者の手に渡ったらしい。遅くとも昭和30年代には研究者の間で原本は所在不明とされ、研究には京博所蔵の模写本が使われていたという。
拡大する「瀬戸内海西海航路図屛風」の左隻には長崎に向かう南蛮船が描かれている(中央)=2020年10月13日、奈良県天理市守目堂町、篠原大輔撮影
天理図書館は1954(昭和2…
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