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 米アップルが13日に発表した初の「5G」対応のiPhone(アイフォーン)は、米国での価格が699ドルから1099ドルと幅広く、「5G」を起爆剤により多くの消費者を獲得しようとする狙いがみえる。また今回からは初めて、パワーアダプターとイヤホンが付属しなくなり、上位機種の価格も「11」と同じ価格帯におさえた。

 「今日はiPhoneの新たな時代の始まりだ」

 アップルのティム・クック最高経営責任者(CEO)は13日、オンラインで開いた発表会でこう訴えた。

 アップルにとって、高速通信規格「5G」対応のiPhoneを出すのはこれが初めて。ライバルのサムスン電子などが昨年から5G対応のスマートフォンを出し、グーグルも5G対応のスマホを発表していた。アップルも5G対応機種を公表したことで、スマホ大手がそろって新たな通信規格に対応した形だ。

買い替え迷う人たちを

 ただ、5Gのサービスは実は世界ではまだそれほど普及していない。米調査会社によると、比較的普及が進む欧州や米国、韓国でも一部の都市圏に限定されており、5G対応スマホが増えても実際に高速通信の恩恵を享受できる人は限られている。

 それでも、各社が5G端末の投入を急ぐのは、新技術が消費を喚起する可能性が高いからだ。アップルは今回、価格が1099ドル(日本での価格は税抜き11万7800円)からの「iPhone 12プロ・マックス」の最上位機種に加え、699ドル(同7万4800円)からの「12ミニ」も投入。最新機種ながら、700ドルを切るモデルも提供することで、古いiPhoneからの買い替えを迷う人たちも取り込みたい思惑がにじむ。

 今春に発表した廉価版「SE(第2世代)」は「399ドル(同4万4800円)~」であることも考え合わせると、iPhoneのラインアップは「399ドル~」の廉価モデルから、「1099ドル~」の最上位機種まで幅広い。

 上位機種の「12プロ」と「12プロ・マックス」は、5G機能を加えたにもかかわらず、前世代の「11」を昨秋に発表したときと同じ価格帯になった。アップルは2018年に上位機種「XSマックス」を発表した際に初めて「1099ドル~」と1千ドル超えのモデルを出し、消費者の「高値疲れ」が指摘された。以来、昨年の「11」、今回の「12」でも最上位機種の価格は「1099ドル~」を上限にしているようにみえる。

付属品減らす

 今回、「上位機種の価格据え置き」を実現できた理由の一端は、付属品を減らした点にもありそうだ。

 従来は付属されていたイヤホンの「イヤーポッズ」と電源の「アダプター」は、今回発表された新4機種には添付されなくなる。充電のためのケーブルだけが付属することになるという。これまでも、iPhoneを購入してきた消費者にとっては大きな変化になる。

 アップルは、付属品を減らすことで、パッケージも小さくできるとしている。輸送も効率化することで、年間200万トンの二酸化炭素排出量を削減でき、「年間45万台の自動車が道路から消えてなくなることに相当する」と説明した。(サンフランシスコ=尾形聡彦)